イスラエルの狙撃兵がキリスト教徒の母娘を射殺、伊外相なども批判
先日、イスラエルのスナイパーがキリスト教徒の女性2人を射殺したことを受け、各方面から非難の声が寄せられている。
教区内にいた母娘を射殺
この事件が起きたのは12月16日、場所はガザ市にある、キリスト教カトリックの聖家族教区内とされている。
エルサレムにあるローマ・カトリックのラテン総主教庁によると、母親のナヒダ・ハリル・アントンさんと、娘のサマルさんは、修道院に向かって歩いていたところを、イスラエル軍の狙撃兵によって射殺されたという。
撃たれた1人を、安全な場所へ運ぼうとしている時に、もう1人が射殺されたそうだ。総主教庁は、次のように訴えている。
「教会の敷地内で他の人を守ろうとして、さらに7人が銃撃され負傷した。警告も通知も行われませんでした。彼女らは、武装勢力のいない教区の敷地内で冷酷に射殺された」
ガザ地区にいるキリスト教徒の家族のほとんどは、戦闘が始まって以来、この教区内に避難しているという。
According to the Latin Patriarchate in occupied #Jerusalem, an Israeli sniper killed Naheda and her daughter Samar today, who were taking shelter at the Holy Family Parish in #Gaza. pic.twitter.com/oceiy0cl17
— Quds News Network (@QudsNen) December 16, 2023
伊外相、英大司教なども非難
またCNNの記事では、障がい者54人が収容されている教区内の修道院が、イスラエル軍の戦車に襲われ、発電機と燃料タンク、太陽光パネル、給水タンクが破壊され、「居住不能」になったとも報じられている。
さらに聖家族教会では、イスラエル軍からの白リン弾や銃による攻撃を受け、清掃作業員ら2人が射殺されて、遺体も屋外に放置され、発電機も停止したとの証言が寄せられていた。
イタリアのアントニオ・タジャーニ外相は、ガザ地区にあるキリスト教徒の施設内で、人々を銃撃し殺害したとし、イスラエル軍を批判。次のように述べた。
「(イスラエルの)狙撃兵が教会内で女性2人を射殺した。これはハマスとの戦いとは、何の関係もない。なぜならテロリストが、キリスト教の教会に隠れているわけはないのだから」
またイギリス・カトリック教会の最高位聖職者であるビンセント・ニコルズ大司教(ウェストミンスター教区)も、イスラエルの狙撃兵による母と娘の射殺は「冷酷な殺人」だったと断罪。今回の銃撃は「イスラエルの自衛権とは何も関係がなかった」と非難した。
EUの外交政策責任者である、ジョセップ・ボレル氏も、SNSの「X」において、「ガザ地区では、あまりにも多くの民間人が殺害された」とし、次のように述べた。
「確かに、私たちはガザでのイスラエルの軍事作戦における、驚くべき区別の欠如(見境のなさ)を目の当たりにしている。最近の軍事作戦では、(カトリック)教徒やイスラエル人の人質3人、その他数百人の民間人が死亡した。これは止めなければなりません。人道的休戦が緊急に必要です」
Far too many civilians have been killed in Gaza, as pointed out among others also by the French, German and UK Foreign Ministers.
Certainly, we are witnessing an appalling lack of distinction in Israel’s military operation in Gaza.
— Josep Borrell Fontelles (@JosepBorrellF) December 18, 2023
The Holy Family church and the Charity Convent, shelters for displaced people, were attacked.
Worshippers, three Israeli hostages, and hundreds of other civilians have died during the most recent military operations.
This must stop – a humanitarian pause is urgently needed.
— Josep Borrell Fontelles (@JosepBorrellF) December 18, 2023
一方、アメリカのロイド・オースティン国防長官は12月18日、イスラエルを訪問し、ヨアヴ・ギャラント国防大臣と会談。「イスラエルの安全保障に対する、アメリカの支持は揺るぎない。イスラエルは一人ではない」と述べたという。
ガザ地区の保健当局の発表によれば、10月7日にイスラエルによる攻撃が始まって以来、1万9453人のパレスチナ人が死亡し、5万2286人が負傷したという。(了)
出典元:The Guardian:Israel-Gaza war live: US support for Israel ‘unshakeable’ but protecting Gaza civilians ‘a moral duty’, says defence secretary(12/18)