イスラエル軍が国連レバノン暫定軍へ再び攻撃、欧州のリーダーが非難
イスラエル軍は10月11日、再びレバノンに駐留する国連の平和維持軍に対して、攻撃を行った。
スリランカ人の隊員2名が負傷
イスラエル軍は10月10日、レバノン南部の町、Naqouraにある国連レバノン暫定軍(Unifil)の基地を攻撃。これによりインドネシア人の隊員2名が、イスラエル軍の戦車の砲弾を受け、監視塔から投げ出されて負傷した。
またその日には国連レバノン暫定軍の前哨基地、2カ所もイスラエル軍の攻撃を受けたという。
そしてイスラエル軍は11日にも、再びNaqouraにある国連レバノン暫定軍の基地に発砲。これによりスリランカ人の隊員2名が負傷した。スリランカ外務省は、イスラエル軍による攻撃を「強く」非難している。
さらに国連レバノン暫定軍は11日、イスラエル軍のブルドーザーが「ブルーライン」の近く、Labbounehの町にあるUnifilの陣地「1-31」の柵を乗り越えたと発表した。
Israeli forces are attacking UN peacekeeper troops in southern Lebanon. Why are the soldiers there and why does Israel see them as targets? Al Jazeera’s @vpietromarchi has some answers. pic.twitter.com/BTxxpyENps
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 11, 2024
仏・伊・スペインが共同声明
イスラエル軍による攻撃について、国連平和維持軍に隊員を送り込んでいる、ヨーロッパ各国のリーダーは痛烈に批判した。
イギリスの首相官邸によれば、スターマー首相は、イスラエル軍が故意に国連平和維持軍へ攻撃したと報告を受け、「愕然とした」と述べたという。
また国連レバノン暫定軍に多くの隊員を派遣しているフランス、イタリア、スペインの首脳は共同声明を発表し、イスラエル軍の攻撃は「不当」であり、国際人道法に基づく義務に対する「重大な違反」に当たると非難。「即時停戦」を求めた。
さらにスペインのペドロ・サンチェス首相は、国際社会に対し、イスラエルに武器を販売することを停止するよう要請。イタリアのメローニ首相も、イスラエル軍による攻撃を「受け入れられない」と強く批判し、フランス外務省もイスラエル大使を召還し、非難するとともに、説明を求めたという。
アメリカのバイデン大統領も、イスラエルに対して、国連平和維持軍を攻撃しないよう求めていると述べたそうだ。
国連のグテーレス事務総長は11日、イスラエル軍による国連部隊への攻撃について、「耐えられない」と批判。その上で、次のように述べた。
「私の事務総長時代に、ここで目にしているほどの、酷い破壊と死の例を見たことがない。私たちはレバノンで巨大な悲劇を目の当たりにしています。そして全面戦争を避けるために、あらゆることをしなければなりません」
しかしイスラエルのカッツ外相は、停戦を求める国連のグテーレス事務総長が「テロリストに支援を与えている」と非難。10月2日には、外交上、受け入れられない人物として、グテーレス事務総長を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定し、イスラエル国内への入国を禁止すると発表した。
レバノン軍の兵士2人が死亡
レバノンではイスラエル軍の空爆が続けられており、10月11日には過去24時間で少なくとも60人が死亡、168人が負傷したという。
前日の10月10日には、イスラエル軍がレバノンの首都、ベイルートの中心部を空爆。人口が密集する住宅街が攻撃を受け、22人が死亡、117人が負傷した。
この攻撃が行われた現場では、爆弾の破片が調べられ、アメリカ製の弾薬が使われたことが明らかになっている。
Aftermath of Israeli air attacks in central Beirut.
— in pictures https://t.co/if746IgQP0 pic.twitter.com/Shy41iuwrm
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 11, 2024
10月11日には、レバノン南部のBint Jbeil県でイスラエル軍の空爆により、レバノン軍兵士2人が死亡、3人が負傷したという。
レバノン軍はイスラエルと「ヒズボラ」との戦闘には関与しておらず、イスラエルが先月侵攻を開始した際には、国境から部隊を撤退させていた。
ガザ地区でも61人のパレスチナ人が死亡
一方、ガザ地区でもイスラエル軍による攻撃が続けられており、10月11日には各地で少なくとも61人のパレスチナ人が殺害されたという。
特にガザ地区北部のジャバリア難民キャンプでは犠牲者が多く、少なくとも30人のパレスチナ人が殺されたそうだ。
イスラエル軍は、ジャバリア難民キャンプ内にある避難所となっていた学校、8校を空爆。これにより18人のパレスチナ人が殺害された。
その後もイスラエル軍はキャンプ内へ空爆を続け、女性や子供を含む12人のパレスチナ人が殺された。
また同キャンプ内の学校では、イスラエル軍の無人機が発砲し、数十人のパレスチナ人が負傷したとも言われている。
ガザ地区の保健当局は11日、昨年の10月以来、少なくとも4万2126人のパレスチナ人がイスラエル軍によって殺害されたと明らかにした。(了)
出典元:The Guardian:Middle East crisis live: air raid sirens reported in central Israel; US and European leaders ‘outraged’ over attacks on UN peacekeepers(10/11)