動くモナリザも!サムスンが開発した、一枚の画像に生命を吹き込むAI技術がすごい
韓国最大の電子製品メーカーとして知られるサムスンが、写真に生命を吹き込むような加工を加えることの出来る新たなAIを開発し、注目を集めている。
画像の中の人物がAI技術によって動き出す!
このAIを開発したのは、ロシアに拠点を構えるサムスンの人工知能センターと、ロシアのスコルコボ科学技術大学に所属する研究者ら。
この技術においては、たった一枚の写真を用い、それに映る人物が話したり豊かに表情を変えたりする動画を生み出すことが可能だという。
さらにこれにおいては人物の写真のみならず、人を描いた絵画からも動画を作成することが可能だ。
研究者らはかの有名な「モナリザ」からも動画を作成。3パターンの動画を公開している。(※動画は記事の最後にある)
動画作成の仕組みは、写真や絵画といった画像から人の顔において目印となる特徴を抽出。これにより、あたかも人物が実際に表情を変えているような動画を作成することが可能となっているとのことだ。
また研究者らはAIを学習させるため、7000もの著名人の画像や、人がカメラに向かって話す様子を映した膨大な数の動画を利用したとしている。
“ディープフェイク”進化の新たなステップにも…
一方このような技術の進歩に対しては、懸念が存在することも確かだ。
英国のダートマス大学で、メディアにおけるフェイク動画根絶の研究等を行うHany Farid氏は、このような技術によって近年、かつてと比較して少ない情報でより手の込んだ動画を作成できるようになっていると指摘する。
AIによる画像生成技術を用いて作られた精巧な動画を総称して指す“ディープフェイク”は、本物と見分けが付かず、誤解や不正を引き起こす原因となりかねない。
実際昨今においては、AI技術と著名人の画像等を用いて作成したとみられるアダルト動画がインターネット上に投稿されたり、さらには“ディープフェイク”がリベンジポルノに利用されたりする事例も出てきているという。
サムスンの開発した技術は、このような“ディープフェイク”のさらなる進化における新たなステップであり、「本物と結果的に見分けが付かないようなコンテンツを、(SNSなどの)マルチメディアにおいて生み出すことにつながる」とFarid氏は警鐘を鳴らしている。
この技術の使い道とは一体…?
しかし“ディープフェイク”への懸念が高まる中、一枚の画像からこのような動画を作成する技術を開発する意味とは一体何なのか、というのは気になるところだ。
これについてサムスンの研究者らは、同技術がビデオ会議や複数名でプレイするゲーム等において活用できると指摘。
同社が開発したAIを応用することにより、“テレプレゼンス”と呼ばれ、遠隔地にいる人がまるでその場に居合わせているかのような臨場感を提供する技術に活用出来ると説明している。
サムスンが開発した、画像の中の人物に生命を吹き込むかのような技術。その利用は内輪での遊び目的ぐらいに留めておきたいところだ。(了)
出典:ScienceAlert:Samsung’s Creepy New AI Can Generate Talking Deepfakes From a Single Image (5/26)
出典:CNET:Samsung deepfake AI could fabricate a video of you from a single profile pic(5/24)
出典:Daily Mail:The AI that can make Mona Lisa smile: Samsung reveals algorithm that creates fake talking-head videos using just ONE photo(5/23)