イギリスでも黒人が白人より4倍以上も多く新型コロナで死亡か
イギリスで黒人(有色人種)が白人よりも、4倍以上も新型コロナウイルスで死亡している可能性が指摘されている。
国家統計局が暫定調査を発表
イギリスの国家統計局によれば、暫定的な分析では、いくつかのエスニックグループにおける新型コロナウイルスに関連した死亡のリスクは、白人のグループよりも非常に高いという。
年齢を考慮に入れた場合、黒人(中南米・アフリカ、その他の出身)の男性は白人に比べて4.2倍、黒人の女性は4.3倍も多く新型コロナによって亡くなっている可能性があるそうだ。
また年齢や健康状態(自己申告)、障がいの有無など、他の社会人口統計学的特徴を考慮に入れて行った場合でも、黒人が白人よりも約2倍(1.9倍)多く新型コロナウイルスで死亡している可能性が明らかとなった。
他のマイノリティのグループもリスクが高い
また同様にバングラデッシュやパキスタンの男性も白人男性より、1.8倍も多く死亡し、他のエスニックグループに属する女性も、白人女性に比べて1.6倍も多く亡くなっている可能性があるという。
一方、中国出身の人や、他のエスニックグループのハーフの人の死亡するリスクは、白人のそれとほぼ同等だったそうだ。
これらのエスニックグループにおける違いは、部分的には社会人口統計学的特徴や他の状況などの結果と考えられているが、残りの部分における違いについては、原因が分かっていない。
英メディアの調査でも同様の結果
英紙ガーディアンが先月行った調査でも、イングランドやウェールズにおけるマイノリティの多い地域の人々は、新型コロナウイルスによる死亡リスクが高い傾向にあることが示されたという。人種間の平等について研究しているシンクタンク「Runnymede Trust」のZubaida Haque氏は、次のように語っている。
「私たちは、人種差別や不平等(例えば住宅問題など)が、社会経済的に貧しいグループの間においてさえ、どれほど重要かを無視することはできません。これらの要素は重要ですが、Covid-19のリスク要因における、多くの統計モデルはこれらが考慮されていないのです」
2014年から2017年の住宅調査によれば、イギリス人の白人世帯の2%しか過密な(家が狭い)状況におかれておらず、一方バングラデッシュ人世帯の30%、パキスタン人世帯の16%、黒人世帯の12%が過密な状態で暮らしているという。(English Housing Surveyの調査からのデータ)
またイングランドでもマイノリティのグループの21%が、公的医療サービスNHSの病院などにおいて新型コロナウイルス治療の最前線で働いている。(イングランドやウェールズにおける彼らの人口の割合は14%)
アメリカでも低所得者の仕事は新型コロナへの感染のリスクが高いものが多く、その結果黒人層などが多く影響を受けているという。(了)
出典元:The Guardian:Black people four times more likely to die from Covid-19, ONS finds(5/7)
出典元:Office of National Statistics:Coronavirus (COVID-19) related deaths by ethnic group, England and Wales: 2 March 2020 to 10 April 2020