うつ病の人々を苦しめる12の“毒の言葉”とは
様々な要因により発症し、様々な治療法のあるうつ病。日本では100人中3~7人がうつ病を経験しているという。これはけして低い数字ではないが、残念ながらなかなか理解が広まらないのが現状だ。
自分の大切な人がうつ病になってしまった時、気が付かないうちに自分の発した言葉が毒になってしまうことだってあり得るだろう。
そこで紹介したいのが、ニューヨーク在住のイラストレーターYuliya Osykaさんが制作した、うつ病で苦しんでいる人々に周囲から寄せられる“毒となる言葉”を紹介する作品だ。
描かれた12の“毒”
描かれている内容を見ていこう。
▼あなたの考え方があなたの生き方
うつ病は通常の思考ではなく、脳の機能障害だ。悲観的な考えを選んでいるわけではない。
▼前向きに!
うつ病は選択してなるものではなく、病気。マイナス思考は症状の一つだ。
▼そのうち収まるよ
うつ病は病気なので、軽く扱われるべきではない。サポートだけではなく、病気であり治療が必要だという実感も必要だ。
▼おおげさなんだよ!
喜びを感じられなくなったり、強い悲しみを感じたりすることは、うつ病の症状であり自分ではコントロールできないものだ。
▼しっかりしろよ!
うつ病は病気であり、弱さではない。慢性的な疲れや消極性、強い悲しみを経験するものだ。気分良くなれるのに、なろうとしていないわけではない。
▼自分のことしか考えていない
うつ病では、自己否定的な考えに取りつかれてしまうことがある。治療を受けなければ変えることはできないのだ。
▼叱られないとわからないみたいだな(ケツをけ飛ばされる必要があるな)
うつは深刻な病気で、命を落とすことだってある。この言葉は、うつ病を軽視し、理由のない罪悪感という症状を進行させ、自尊心を失わせてしまう言葉だ。
▼でも、いい人生じゃないか
うつは目に見えない病気だ。この言葉は、理由のない罪悪感や自己否定といった症状を進めてしまうことがある。
▼弱音を吐くな!
うつは病気であり、弱さではない。
▼現状で満足しなよ
うつ病の人々は、生きる意味やかつて好きだったものへの興味を失っているもの。上からの目線で彼らを見ず、病気の深刻さを無視しないように。
上記の他に、「最悪って程じゃないさ」「注目が欲しいだけなんだろ」などの言葉も毒となる言葉としてあげられている。
▼英語版の投稿
NPO法人の協力を得て制作
いずれの言葉も、言った人には悪気なんてないものだろう。しかし、その言葉は毒となり、うつ病に直面している人々を傷つけてしまいかねない。
一連の作品は、メンタルヘルスに関する活動をしているNPO法人「Anxiety and Depression Association of America(ADAA)」の協力を得て制作されたもの。同法人では、偏見をなくす活動も行っている。
うつ病などの目に見えない病気は、当事者以外にはなかなか理解できないもの。しかし、周囲の人との付き合い方や治療によって、状態は良くなっていくはずだ。
家族や恋人など大切な人がうつ病になってしまった時、そして自分がうつ病になり、周囲の理解が得られない時に、Osykaさんの作品は役に立ってくれるはずだ。(了)
参考:TOXIC SUPPORT” DEPRESSION AWARENESS ILLUSTRATED POSTERS
参考:みんなのメンタルヘルス「うつ病」