インドの路上で売られている謎の食べ物、科学者にも未だ正体わからず
それは植物の茎か根らしきもので、太い円筒形をしている。インドの路上で、健康にいいスナックとして、数十年も前から切り売りされているそう。名前はRam Kand Poolというのだが、何の植物のどの部分なのか、植物学者も解明できないでいるらしい。
紙のように薄く切って食べる
「巨大ラディッシュ」などと形容されることもあるRam Kand Poolは、表面が赤褐色で中は白い。大きなものは重さが300kgほどになるそうだ。
これを紙のように薄く切り、チリペッパーと塩、ライムと砂糖などで味付けして食べる。下にあるのは、路上で売られている様子を映したYouTube動画。
海外メディアによれば、インド神話の英雄ラーマ(Lord Ram)が追放されて森をさまよっていた時に、このRam Kand Poolを食べて命をつないだ、というストーリーが宣伝に使われているとのこと。飢えや渇きを抑え、夏には体温を下げ、さまざまな病気にも効くことになっているようだ。
学者にも突きとめられない謎
Ram Kand Poolの正体は何なのか。インドの植物学者たちは1980年代からそれを知ろうとしていたという。ところが、路上の売り子たちがはっきりしたことを教えてくれない。何かの茎だ、と言う者もあれば、茎ではなく根だ、と言う者もある。たいていの売り子は、業者から買っているだけで詳しいことは知らない、と言う。こうした事情で、調べようにも情報が手に入らなかったそうだ。
メディアの調べでは、1994年に、ある学者がインド各地の土を掘り返してRam Kand Poolを探している。その結果、竜舌蘭(アガベ)の一種らしいと分かったが、それがRam Kand Poolであるという確証は得られなかった。また、別の植物学者が路上の売り子にお金を払って得た情報によると、やはりRam Kand Poolは竜舌蘭の一種ということだった。
2011年にはDNA解析が行われ、その後発表された論文でも、Ram Kand Poolは竜舌蘭ということになっているが、論文を書いた研究者は「販売者がその植物を見せてくれるまで結論は出せない。彼らはそれを商売上の秘密にして、周囲の関心を引こうとしている」と言っている。
竜舌蘭を専門に研究する別の学者は、Ram Kand Poolが竜舌蘭であるという説に真っ向から反対している。売られているRam Kand Poolを食べると「口当たりが滑らかで、噛むと柔らかく、それほど甘くない」が、論文で示唆された竜舌蘭の塊茎は「非常に甘く、渋みや酸っぱさがあり、繊維質で噛むと硬い」というのが理由だそう。
Wikipediaでは、竜舌蘭とは全く別の、フクチョウボク科のMaerua oblongifoliaという植物の根がRam Kand Poolということになっている。ただ、学者の間では異論もあるとのこと。
つまり……正体を知っているのは販売業者だけ、ということか。(了)
出典元:Odditycentral:Ram Kand Mool – The Mysterious Plant Snack That Has Intrigued Scientists For Decades(8/12)
出典元:KRISHI JAGRAN:Ram Kand Moool(2019/2/4)