ロンドンではパンデミックの間、腐敗した状態で自宅に放置された遺体が増えていた
イギリスの首都では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の影響により、自宅で死亡し、腐敗したまま発見されるケースが増えていたことが明らかとなった。
2019年からの263件の死後検査を検証
ロンドンで行われた調査によれば、1週間以上発見されずに放置された遺体の割合が、新型コロナのパンデミックの最初の年に増えたという。
この調査は、2019年3月23日から2021年3月22日の間に実施され、合計263件の死後検査を検証。ロンドン中心部の霊安室で記録された、病理医による死後検査報告書と検視の書類を比較したそうだ
その結果、ロックダウンが行われる前の1年間では、発見された159体の遺体のうち26体(16%)のみが顕著な腐敗状態にあると判断された。
しかしロックダウンが行われてからの1年間では、104体中29体が顕著な腐敗状態に該当し、4分の1以上(約28%)にまでなったそうだ。
また自宅での死亡者数は、ロックダウン前の12ヶ月間と比較して38%も増加していたという。
専門家の間でも懸念が広まっていた
遺体が腐敗した状態で発見された人の多くは、1人暮らしだったとされている。
また遺体がそのような状態になるのは、死亡から死後の検査まで、少なくとも1週間から2週間はかかると考えられるそうだ。
専門家の間では、パンデミックの時に怖くて病院に行けなかった病人がいたのではないか、という懸念が以前から指摘されていたという。
今回の調査を行った病理学者であるTheodore Estrin-Serlui博士によれば、パンデミックの間、多くの人々が医療サービスから遠ざかっていたり、治療を受けることがより困難になっていたりしたことが考えられるという。
またこれらの人々が病院に入院していたならば、しかもその容態や病気が容易に治療可能であったならば、死なずに済んだかもしれないと考えることができる、とも述べている。
ただしEstrin-Serlui博士は、今回の研究ではサンプル数が少なく、対象地域が狭いという制限があることも認めている。(了)
出典元:METRO:Huge rise in bodies found decomposed as deaths at home soar during pandemic(11/21)