経済制裁を止めなければ国際宇宙ステーションが墜落する、ロシア宇宙機関が警告
ロシアの宇宙機関「ロスコスモス」が、ウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁を解除するよう要求した。
宇宙船の運用が中断される可能性
「ロスコスモス」のトップであるドミトリー・ロゴージン氏は3月12日、「テレグラム」において、ロシアへの経済制裁により、国際宇宙ステーション(ISS)にサービスを提供するロシアの宇宙船(補給船)の運用が中断される可能性があると述べた。
またウクライナ侵攻より前の制裁もあり、宇宙船の運用中断で、ISSの軌道を修正するのに役立つロシアの区画(セグメント)が影響を受け、500トンの宇宙ステーションが「海や陸に落ちる」可能性があると指摘したという。
その上で、ロゴージン氏は国際社会に対し、ロシアへの経済制裁を解除するよう求めた。
ロシアのウクライナ侵攻を支持
ロゴージン氏はSNS上で、ロシアのウクライナへの侵攻を強く支持するような投稿を定期的に行ってきた。
先月も、ツイッター上で西側諸国の制裁を非難し、宇宙ステーションが地球に落下する脅威を提示していたそうだ。
今回、ロゴージン氏は、「テレグラム」において、ISSが落下する可能性のある場所の地図を示し、ロシア国内である可能性は低いと述べたという。
その上で「他の国の人々、特に戦争の犬に率いられた国の人々は、ロスコスモスに対する制裁の代償について考えるべきだ」と投稿した。
NASAは解決策を模索中
一方、米航空宇宙局(NASA)は3月1日、ロシアの支援なしにISSを軌道上に維持するための解決策を見つけようとしていると発表した。
そもそもISSへの宇宙飛行士と物資の輸送は、ロシアの宇宙船「ソユーズ」によって行われ、ロシアの区画に運ばれてきた。
しかしロゴージン氏は、離陸に使われたロケットは「2021年から米国の制裁下にあり、2022年からはEUとカナダの制裁下にある」と述べている。
このため「ロスコスモス」は、NASA、カナダ宇宙庁、欧州宇宙庁に「わが社に対する違法な制裁の解除を要求する」と訴えたという。
軍事衛星の建設を優先
宇宙は、米国とロシアが協力し続ける最後の残された分野の1つだ。
しかし「ロスコスモス」は3月初め、ウクライナとの紛争により、ロシアがますます孤立していることから、軍事衛星の建設を優先させる意向を表明した。
ロゴージン氏は、ISSへ宇宙飛行士を運ぶのに使われている米国のロケット「アトラス」と「アンタレス」にも、エンジンを供給しないことを発表している。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war latest news: Russia will only take Kyiv if city is ‘razed to the ground’, Zelenskiy says, as Moscow threatens western shipments – live(3/12)
出典元:France24:Russia warns sanctions could cause International Space Station to crash(3/12)