ロシア極右思想家の娘・爆殺事件、国内のパルチザンの犯行か?元議員が主張
8月20日、ロシアの超国家主義思想家でプーチン大統領の考えに影響を与えたとされる人物の娘が、モスクワ郊外において自動車爆弾により死亡した。
車に仕掛けられた爆弾が爆発
亡くなったのは、ダリヤ・ドゥーギナ(Darya Dugina)さん(30)だ。彼女は、ロシアの極右思想家であるアレクサンドル・ドゥーギン(Alexander Dugin)氏を父親に持つ人物とされている。
ダリヤさんは現地時間午後9時半頃、首都モスクワの西約20kmにあるボルシエ・ヴィアゼミ村付近で、運転していたトヨタランドクルーザーに仕掛けられた爆弾が爆発し、死亡したという。
現場にはドゥーギン氏もおり、彼は別の車で移動していたため難を逃れたようだが、目の前で娘が亡くなる様子を目撃していたそうだ。
2人はモスクワで開かれた集会に参加した後、帰宅する途中だったと言われている。
Russian media are reporting that a car exploded in Moscow oblast; allegedly, Darya Dugina, Alexander Dugin’s daughter, was driving and that she died on the spot. No official confirmation at this point, also no information on the cause of the explosion. pic.twitter.com/7jeDuGVDjP
— Russians With Attitude (@RWApodcast) August 20, 2022
ウクライナ側は関与を否定
この事件に関し、ウクライナ側は犯行を否定。一切関与していないと主張している。
ウクライナ大統領の最高顧問であるミハイロ・ポドリャク氏は、ウクライナのテレビ局に対し、次のように語った。
「ウクライナは、ロシア連邦のような犯罪国家ではなく、さらにテロ国家でもないので、もちろん、これとは何の関係もないことを確認している」
ロシアのパルチザンの犯行だと主張
一方、ロシアの元議員であるイリヤ・ポノマレフ氏は、ダリヤさん殺害に関して、ロシアのパルチザングループ「国民共和軍(National Republican Army:NRA)」が犯人だと主張しているという。
ポノマレフ氏はロシア下院の元議員で、反政府活動を行ったために追放され、現在はウクライナに拠点を置いている。
彼は、今年初めにキーウで立ち上げた、ロシア語の野党テレビチャンネル「フェブラリー・モーニング」で次のように語っている。
「昨夜、モスクワ近郊で重大な事件が起きた。この攻撃は、プーチン主義に対するロシアの抵抗に新しいページを開くものです。新しいが、しかしこれが最後ではない。ロシア国内のパルチザンが、高官やオリガルヒ、ロシアの保安機関のメンバーなど、クレムリンと関係のある有名人に対して、さらに同様の攻撃を行う用意がある」
またポノマレフ氏は、NRAのマニフェストと呼ばれるものを、番組内で読み上げたという。
「我々は、プーチン大統領が権力を奪った人物であり、憲法を改正し、スラブ民族間の兄弟間戦争を引き起こし、ロシア兵を確実かつ無意味な死へと追いやった戦争犯罪者であることを宣言する。貧困と棺桶を一部の人に、宮殿を一部の人に、それが彼の政策の本質だ。私たちは、公民権を奪われた人々が暴君に反抗する権利があると信じている。プーチンは私たちによって退陣させられ、破壊されるだろう!」
ポノマレフ氏の主張に関しては、ウクライナの犯行を反らす狙いがあるとも囁かれているが、果たして真相はどうなのだろうか?(了)
出典元:The Guardian:Ex-Russian MP claims Russian partisans responsible for Moscow car bomb(8/21)