中国のロケットの残骸が制御不能、スペインが空域の一部を閉鎖
中国のロケット落下に備え、スペインが空域を一時的に閉鎖することを余儀なくされた。
「長征5B」の残骸が制御不能
10月31日、中国の宇宙ステーション「天宮」の第3モジュールを運搬するために、南部から「長征5B(CZ-5B)」ロケットが打ち上げられたという。
そして4日後には、ロケットは中南部太平洋上で地球の大気圏に再突入し、大部分が破壊されたそうだ。
しかしEU宇宙監視・追跡(EUSST)オペレーションセンターは、ロケットのコアステージが長さ約30メートル、重さ17〜23トンで、「過去に再突入した破片の中で最大級」であると指摘。制御不能になっていることから、注視すべきだと警告していた。
これによりスペインの航空局「Enaire」は、カタルーニャやバレアレス諸島を含む同国北東部の上空に規制(空域閉鎖)をかけることになったという。
300便のフライトが影響を受ける
この一部の空域閉鎖は、11月4日の午前9時37分から午前10時17分(現地時間)まで、約40分間続いたという。
これにより各航空会社のフライトが30分ほど遅れ、スペインの空港運営会社「アエナ」は、46の空港で予定されていた5484便のうち300便が影響を受けたと報告している。
「長征5B」ロケットは2020年5月の初号機打ち上げ以来、今回で4回目の飛行となる。
初の打ち上げの際、ロケットの破片がコートジボワールに着弾し、西アフリカの複数の建物に損傷を与えたが、負傷者は報告されていない。
2回目の発射の際、ロケットの破片はインド洋に着水し、損害を与えず、3回目のロケットの破片もフィリピンのスールー海に落下した。
中国外務省の趙麗健報道官は11月4日、定例会見において、ロケットの大気圏への再突入は国際的に一般的な慣例であるとした上で、次のように述べている。
「この種のロケットは特殊な技術を使用しており、大部分の部品は大気圏に再突入する際に破壊され、航空活動や地上に被害を与える可能性は極めて低いと理解している」(了)
出典元:The Guardian:Spanish airspace partially closed as Chinese rocket debris falls to Earth(11/4)