Twitter/SpaceX

スペースX社の幹部が、衛星通信サービス「スターリンク」による、ウクライナ軍の無人機使用に制限をかけたと明らかにした。

「攻撃で使われるのを意図していない」

スペースX社の最高執行責任者（COO）であるグウィン・ショットウェル氏は先日、アメリカで開かれた会議で、「スターリンク」が「攻撃的な目的」に使われることは同社の意図ではなかったと発言。

「スターリンク」の衛星通信サービスが、無人機をコントロールするのを防ぐ措置をとったと明らかにした。もっとも具体的に、どのような措置をとったのか、については明らかにしていない。

しかし無人機は、ウクライナ軍がロシアの侵攻と戦うために、非常に重要なものとなっている。

この発言を受け、ウクライナ大統領顧問のMykhailo Podolyak氏は2月9日、すぐに苦言を呈し、イーロン・マスク氏の企業がウクライナの自衛権を認めなかったと批判。

「スペースX社が、『自由への権利の側』なのか『ロシア連邦の側』、つまり殺害と領土奪取の権利の側に立つのか、決めなければならない」とツイートした。

侵攻直後にマスク氏が同意

昨年、ロシアがウクライナへ侵攻した直後、ウクライナのデジタル変革担当大臣であるミハイロ・フェドロフ氏は、スペースX社のCEOであるイーロン・マスク氏にツイッターで支援を要請。

マスク氏はそれに答え、ウクライナに「スターリンク」を無償で提供することに同意し、「スターリンクのサービスは現在、ウクライナで有効だ」と返信したという。

以来、ウクライナ軍は、ロシアの軍事行動を監視するのに重要な、大規模な偵察機ネットワークの制御に「スターリンク」を使用してきたそうだ。

また他のインターネットサービスが戦争被害、停電、電波妨害、距離が離れている理由で利用できないため、ウクライナ軍は「スターリンク」のネットワークに依存するようになっていった。

Starlink satellites are equipped with one solar array instead of two, minimizing potential points of failure pic.twitter.com/bJirVr67fF

— SpaceX (@SpaceX) May 24, 2019

Starlink will connect the globe with reliable and affordable high-speed broadband services pic.twitter.com/dWVvPwVWU4

— SpaceX (@SpaceX) May 24, 2019

Less than 24 hours after SpaceX’s launch of the first 60 Starlink satellites, amateur astronomer Dr. @Marco_Langbroek captured them streaking over the Netherlands [full story: https://t.co/0DDE0TCfI1] pic.twitter.com/boTrocB0e3

— Massimo (@Rainmaker1973) May 25, 2019

昨年10月にも提供停止の騒動に

もっとも「スターリンク」を巡る騒動は、これが初めてではない。マスク氏は昨年10月、ウクライナがクリミアを引き渡し、ロシアが占領した土地で、国連の監視下において住民投票を行うとする和平案を提案。

その和平案について、賛成か反対かをTwitterユーザーに問い、投票を促した。結果は、反対が多数となったが、ウクライナの駐ドイツ大使であるAndrij Melnyk氏はこの和平案について「ふざけるな、というのが私の外交的な返事だ」とマスク氏に返信したという。

これに対し、マスク氏は「スターリンク」の提供を止めると言い出した。その理由としてマスク氏は、「スターリンク」の運用にはアメリカ政府も一部支援しているが、スペースX社にとって「コストがかかる」と述べていた。（了）

出典元：The Guardian：Fury in Ukraine as Elon Musk’s SpaceX limits Starlink use for drones(2/9)