流出したウクライナに関する米機密文書、その中身の一部が明らかに
先日、ウクライナ支援に関するアメリカ軍の極秘文書が漏洩したが、その中身の一部が明らかになった。
ミサイルや弾薬が不足する見通しを記述
ニューヨーク・タイムズ紙によると、この文書で最も目を見張るような事実の1つは、ウクライナの防空システムに関することだという。
機密文書には、ウクライナ軍が防空システムのミサイルと弾薬を、数週間以内に使い果たす危険性があり、戦争の行方を変える可能性があると書かれていたそうだ。
その文書は2月23日付のものであり、そこにはソ連時代に作られたウクライナ軍の「S-300防空システム」のミサイルが、現在のままの使用率では、5月2日までに枯渇してしまうことが詳細に記されていたという。
またウクライナ軍はロシア軍の航空戦力から守るために、「Buk防空システム」にも頼ってきたが、4月中旬には問題が発生し、前線の軍隊を守る防空能力は5月23日までに「完全に減少」する可能性があるとの分析がなされていたそうだ。
「ウクライナ軍にとって大きな困難」
アメリカ軍の高官はニューヨーク・タイムズ紙に対し、ロシア軍の戦闘機や爆撃機が攻撃する機会を増やすことは、ウクライナ軍にとって大きな困難になると語ったという。
またウクライナ軍のスポークスマンであるYuri Ihnat大佐も、ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、重要な「S-300」と「Buk」のために、ソ連設計の弾薬を見つけるという深刻な課題に直面していると語り、次のように述べたそうだ。
「もし我々が空の戦いに敗れれば、ウクライナにとって非常に深刻な結果を招くだろう。先延ばしにしている場合ではない」
その上でIhnat大佐は、西側同盟国に対して支援を加速させるよう求めたという。
韓国側の会話をCIAが傍受か?
また今回、流出した文書には、殺傷兵器を提供しないという原則を破り、韓国政府内でウクライナにおいて使われる砲弾をアメリカに提供するかどうかについて話し合われたという内容が記載されていた。
その文書には韓国の元大統領室国家安保室長と、元外交官秘書官のやり取りが記載されており、ウクライナへの砲弾支援の会話や、ポーランドを通して迂回支援する方法などが語られていたそうだ。
これによりCIA(米中央情報局)の工作員が韓国政府内部の議論を傍受していた可能性が高まったため、韓国の野党は流出したアメリカ国防総省の文書を検証するよう、政府に求めたという。
一方、ウクライナでは先週末に、ハルキウ州にある町・Kupianskや、ザポリージャ州でロシア軍の攻撃が行われ、7人の市民が死亡している。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war live: Russia ‘to increase air defences to counter Finland’s Nato accession’; US investigates intelligence leak(4/10)