英博物館、古代ローマ皇帝の1人がトランスジェンダーだったと認定
イギリスの博物館は、古代ローマ皇帝だった人物を、トランスジェンダーの女性(肉体的には男性)と認定したという。
古代の文献の内容をもとに
その人物とは、西暦218年から222年まで統治した、第23代ローマ皇帝のエラガバルス(Elagabalus、別名:ヘリオガバルス)だ。
ロンドン北部の町、ヒッチンにあるノース・ハートフォードシャー博物館は先日、エラガバルスがトランスジェンダーだったと認定した。
博物館はその理由について、古典文献にある、「私を殿下と呼ばないでください、私はレディなのですから」と言ったとするエラガバルスの記述が、きっかけだと説明している。
この文献は、ローマの有名な歴史家で、行政官でもあったカシサス・ディオによって書かれたそうだ。
男性と女性、両方と結婚した
エラガバルスはローマの歴史において興味深い人物で、男性と女性、両方とそれぞれ別の機会に結婚しているという。
しかし、エラガバルスの代名詞、つまり「彼」か「彼女」かについては、これまで統一見解がなかったそうだ。
今回、トランスジェンダーの認定をした博物館は、エラガバルスの治世中に生きていたカシサス・ディオによって書かれた本が、トランスジェンダーの証拠であると指摘。
その本には、エラガバルスが「外科手術で女性になれるかどうか」と尋ねたとする記述も残っていたという。
一方、ケンブリッジ大学古典学教授のシュシュマ・マリク氏はBBCに対して、「エラガバルスが化粧をし、かつらを着用し、体毛を除去したという記述は、不人気な皇帝を貶める目的で書かれた可能性がある」と述べている。
また「ローマ皇帝:古代を支配する」の著者メアリー・ビアード氏も、皇帝ネロなど、カシサス・ディオに女性だと書かれた皇帝は他にもいたと指摘。その上で次のように語っている。
「これは、現在と同じように古代世界においても難しい分野です。エラガバルスについてローマ人が語っていたことは、男性と女性の境界についての議論が、何千年も遡ることを強く思い出させます。(ただ)私たち自身の現代のカテゴリーを、古代世界に適用することはできません」(了)
出典元:TIME:U.K. Museum Says Roman Emperor Was a Trans Woman(11/22)
出典元:BBC:Museum reclassifies Roman emperor as trans woman(11/21)