「ガザ地区へ人道支援を行っていない」イスラエルの人権団体が政府を非難
3月11日、イスラム教徒にとって神聖な断食月「ラマダン」が始まったが、ガザ地区では各地でイスラエル軍の攻撃が続けられている。
ガザ地区各地で犠牲者
パレスチナ人権センター(PCHR)によれば、イスラエル軍が11日にもガザ地区南部の町、al-Mawasiに砲撃を加え、人権活動家であるヤセル・アブデル・ガフール氏の家族が殺害されたという。
al-Mawasiはハンユニスの西部にあり、イスラエル軍が安全な避難地域に指定していたそうだ。
この攻撃で子供4名と女性3名を含む14名が死亡し、8名が負傷。そして犠牲者の中には、ガフール氏の家族も含まれていたという。
また11日の早朝からイスラエル軍の戦闘機が空爆を続けており、南部のラファ西部でも、住宅が砲撃を受け、3人が死亡したそうだ。
ガザ地区北部のガザ市にあるZeitoun地区でも、イスラエル軍の攻撃があり、避難していた2家族の住宅がターゲットにされ、少なくとも16人が死亡。犠牲者のほとんどが女性や子供、高齢者だったと見られている。
医療用ハサミでトラックが通行不可
一方、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によれば、人道支援物資に医療用のハサミが入っていたために、イスラエル軍によってトラックが引き返させられたという。
UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は、「X」において、次のように投稿した。
「医療用ハサミが、『二重用途』として分類され、イスラエル当局の禁止品目のリストに追加された。しかも禁止リストには、麻酔薬やソーラーライト、酸素ボンベ、人工呼吸器から浄水剤、抗がん剤、マタニティキットに至るまで、基本的な物品と救命アイテムも含まれている」
その上でラザリーニ事務局長は「200万人の命が、人道支援にかかっている。無駄にする時間はない」と訴えた。
#Gaza: an entire population depends on humanitarian assistance for survival. Very little comes in & restrictions increase.
A truck loaded with aid has just been turned back because it had scissors used in children’s medical kits.
Medical scissors are now added to a long list of… pic.twitter.com/Obpsi9bVkV
— Philippe Lazzarini (@UNLazzarini) March 11, 2024
12に及ぶ人権団体が政府を批判
そんな中、イスラエルの12に及ぶ人権団体が、ガザ地区への人道支援が十分に行われていないとして、イスラエル政府を非難する公開書簡に署名したという。
署名を行ったのは内部告発団体「ブレイキング・ザ・サイレンス」や「イスラエル公民権協会」など。公開書簡には、次のように書かれていたそうだ。
「イスラエルに拠点を置き、人権と法の支配に尽力する市民社会の一員として、私たちはイスラエルが今までのところ、国際司法裁判所(ICJ)が課した措置に基づいて行動を変えていないという事実、そして判決から1カ月で、ガザへの人道支援が50%まで減少した事実を、非難する」
アカデミー受賞監督がガザ侵攻を非難
3月10日にはアメリカでアカデミー賞の授賞式が行われ、アウシュビッツ強制収容所の外で暮らす所長の家族を描いた『関心領域』が、国際長編映画賞を受賞した。
授賞スピーチで、ユダヤ系イギリス人の映画監督、ジョナサン・グレイザー氏は、ガザ地区へのイスラエルの攻撃を非難。次のように語った。
「私たちの映画は、人間性の喪失が、最悪の場合、どんな事態に至るかを示しています。非常に多くの罪のない人々を紛争に巻き込む占領によって、ユダヤ人であることやホロコーストが乗っ取られていることに異議を唱える者として、私たちはここに立っているのです。イスラエルでの10月7日の犠牲者であれ、進行中のガザ攻撃であれ、すべては人間性の喪失の犠牲者です。私たちはどのように抵抗すればいいのか?」
The heated discussion surrounding director Jonathan Glazer’s speech at the Oscars last night is mostly missing the point. His main message was simple and yet vital: empathy is not a zero-sum game.pic.twitter.com/9CzditpSOB
— Breaking the Silence (@BtSIsrael) March 11, 2024
ガザ地区の保健当局は3月11日、ガザ地区での死者が3万1112人に達し、7万2760人が負傷したと発表。またガザ地区北部のカマル・アドワン病院では、子供2人が餓死し、栄養失調と脱水症状で死亡した人の総数が、27人になったと明らかにした。(了)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: Israel’s Al-Aqsa curbs risk ‘explosion’ – Jordan(3/11)