9日間も連続で続いた謎の地震、巨大津波によって引き起こされていた可能性
昨年、グリーンランドで謎の地震が続いたが、その原因が科学者らによって明らかにされた。
グリーンランド東部で9日間も続いた振動
2023年9月、東グリーンランドでは9日間も振動が続き、謎の地震波も計測されたという。
しかしその地震波は、高周波地震とは異なり、ピークが92秒間隔で繰り返され、しかもそれが何日も続いていたそうだ。
そこでデンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)の地質学者などの国際研究チームは、ミステリアスな地震波を調査。現場での測定や衛星画像、スーパーコンピューターのモデルを組み合わせて、何が起こったのかを再現した。
その結果、山が地滑りを起こし、フィヨルド内で巨大な津波が起きていたことが判明。さらにその津波の動きにより、地殻に反響する地震波が送られていたことが明らかとなる。下は地震が起きる前、8月12日の写真。
こちらは地震後の9月19日の写真。奥の山の斜面が崩れていることが分かる。
地滑りは気候変動が原因
気候変動により極地域の氷は現在、加速度的に解けており、今回のフィヨルド内でもオリンピックサイズのプール約1万個に相当する2500万立方メートルの岩石と氷が崩れ、地滑りが起きたと考えられている。
そしてこの地滑りにより、高さ200mに及ぶ津波が発生した可能性が判明。東グリーンランドのディクソン・フィヨルド内で、波が行ったり来たりを繰り返し、9日間も地震波が計測されたという。
このようなフィヨルド内で津波が行ったり来たりを繰り返す現象は、「seiche」と呼ばれているそうだ。
ただし今回のように、長く続く津波を正確にコンピューターでシミュレーションするのは、かなり大変だったらしい。
今回の地滑りで被害者などは出ていないが、津波は近くのエラ島にある研究基地のインフラを破壊したという。
また研究者らは、気候変動の影響の悪化により、極地周辺でさらに破壊的な地滑りが発生する可能性がある、と述べている。(了)
出典元:Livescience:Mysterious 9-day seismic event was caused by a mega tsunami bouncing around inside a fjord, study reveals(9/12)