マヤ文明の常識が変わる発見か!4000年以上前の漁場が発見される
紀元前から16世紀まで南米大陸に存在したマヤ文明。他の古代文明と異なり、それほどの大河が存在しないところに発達した文明であることが特徴だ。主に雨水を利用した農耕文化であり、主食はトウモロコシだったと考えられていた。
そんなマヤ文明の常識が変わるかもしれない新発見が、Science Advances誌に掲載された。
4000年前から続く大規模な漁場を発見
カンクンが有名なユカタン半島に、マヤ文明を支えたとみられる巨大な漁場があることが明らかになった。その漁場は、雨季には沈んで魚が生息し、乾季なると魚が自然とジグザグ上の運河に追い込まれるという罠のようなもの。42平方キロメートルという、ほぼ東京都江東区と同じ大きさだ。
ベリーズ最大の内陸湿地帯に位置しており、放射性炭素年代測定が複数行われた結果、紀元前2000年頃から紀元後200年頃まで使用されていた可能性がある。ベリーズはマヤ遺跡が多く残る国で、マヤ文明の中心地であった時期もある。
ニューハンプシャー大学の人類学者エレノア・ハリソン・バック氏は、「運河の建設年代が早かったことに当初は驚きました。放射性炭素年代測定を何度も行った結果、これらの巨大な建造物は古代マヤ人によって建設されたのではなく、もっと以前に建設されたことが明らかになりました」とコメントしている。
加工した魚も多く食べられていた可能性
初めはこの水路は農業用に使用されていたのではないかと考えられていたが、周囲にトウモロコシの花粉や溝や排水溝のある農地は発見されていない。
マヤ文明は農耕文化が中心であり、トウモロコシを中心とした食生活だと考えられてきた。しかし、今回発見された漁場では、毎年推定100万キロの漁獲量があり、乾燥、塩漬け、燻製にすれば1万5000人を1年間養えたと考えられている。
これが事実であれば、魚もたくさん食べられていたこと、農業だけではなく漁業もマヤ文明の定住生活を支えていたという可能性がある。マヤ文明はトウモロコシ中心の食生活だったという、かつての常識が覆されるかもしれない発見だ。
ハリソン・バック氏らは、「この歴史全体を解明するには、さらなる調査が必要だ」としている。(了)
参考:Science Advances「Late Archaic large-scale fisheries in the wetlands of the pre-Columbian Maya Lowlands」(11/22)
参考:Science Alert「Mysterious Network of Canals From 4,000 Years Ago Predates The Maya」(11/30)
参考:ナショナルジオグラフィック「第1回 知ってるようで知らないマヤ文明」(2012/12/3)
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