ウクライナが鉱物資源取引で合意、トランプ政権は安全保障を与えない方針

ウクライナのゼレンスキー大統領は2月28日にアメリカを訪問し、鉱物資源の取引に関する合意文書にサインすることになった。
ウクライナに不利な条件を取り下げ
ウクライナの政府高官は2月25日、アメリカとの重要な鉱物やその他の資源に関する取引条件について、合意したと明らかにした。
政府高官によれば、この合意では、アメリカがウクライナと共に鉱物資源などの共同開発を行い、得られた利益は新たに設立された共同基金に充てられるという。
アメリカのトランプ大統領は以前、ウクライナ支援(約1200億ドル)の見返りとして5000億ドル分のレアアースをウクライナ側に要求していたが、米政府はこのようなウクライナに不利な条件を取り下げたそうだ。
安全保障については曖昧なまま
ただし、「合意文書案」には安全保障に関する記述があるものの、ウクライナ側が求めていたアメリカ側の積極的な関与については曖昧なままだという。
「合意文書案」には「アメリカは持続的な平和に向け努力し、安全の保障をするための努力を支持する」といった文言しか盛り込まれていないそうだ。
またトランプ大統領も、記者団に対し、「まあ、私は安全保障の保証をあまり多くするつもりはない。欧州にやってもらうつもりだ」と述べたという。
ウクライナのNATO加盟についても、トランプ氏は、この問題が戦争を引き起こしたとするロシア側の主張を繰り返し、「NATOは忘れていい。恐らくそれがすべての始まりの理由だと思う」と述べたそうだ。
ゼレンスキー大統領は、鉱物資源の合意については「暫定的」なものと表現。アメリカを訪問した際には、ウクライナへの支援を継続するかどうかを「率直に」尋ねるとし、「安全保障の確約が得られなければ、停戦は実現せず、何も機能しない」と述べた。
欧州の平和維持部隊をロシア側は拒否
アメリカのトランプ大統領は24日、フランスのマクロン大統領との記者会見の際、停戦合意後にヨーロッパの軍隊が平和維持部隊としてウクライナに入ることを、ロシア側は了承するとの見方を示した。
しかし翌25日には、ロシア政府がウクライナへのヨーロッパ軍部隊の派遣について、改めて反対の意向を示した。
イギリスとフランスが支持している平和維持部隊の1つの案は、ウクライナに3万人未満のヨーロッパ軍の地上部隊を派遣し、西側諸国の空軍と海軍の支援を受けながら、最前線から離れた原子力発電所などの主要インフラ施設に駐留するという内容となっている。
ヨーロッパ各国の首脳は3月2日にもロンドンに集まり、防衛と安全保障の問題について協議する予定だという。
また2月27日には、アメリカとロシアの高官がトルコのイスタンブールで会談し、外交関係の改善について協議する。(了)
出典元:The Guardian:Trump says no significant security guarantees in Ukraine minerals deal(2/26)
出典元:ABC News:US, Ukraine agree to terms on mineral deal, Ukraine says(2/26)