米企業が、遺伝子操作により毛の長いマウスを作成、批判が寄せられる

アメリカの企業が、毛の長いマウスを誕生させ、批判の声が寄せられている。
マンモスのような毛の長いマウス
その企業とは、「コロッサル・バイオサイエンス(Colossal Biosciences)」社だ。
彼らは3月4日、遺伝子操作を行い、マンモスのような、毛の長いマウスを作りあげたと発表した。
この実験では、8つの遺伝子が改変され、7つは毛の成長に関連する遺伝子で、8つ目は体脂肪の増加に関連する遺伝子だったという。
その上で同社は、将来的には北極のツンドラ地帯に、マンモスのような生物の群れを生息させたいと明らかにした。
Scientists have bred woolly mice on their journey to bring back the mammoth. https://t.co/95Xlx37Qz8 pic.twitter.com/KcG7ChMIGD
— TIME (@TIME) March 4, 2025
寒さに耐えられるゾウへの第一歩
「コロッサル・バイオサイエンス」社によれば、今回のマウスの実験は、ゾウを毛深くし、寒さにもっと耐えられるように遺伝子操作するための第一歩だという。
同社の共同創業者兼CEOのベン・ラム氏はBBCニュースに対して、今回の実験は大きな前進だとし、次のように述べている。
「2028年までに寒さに適応した最初のゾウを誕生させる予定で、そのためには2026年末までに最初の胚が誕生することになる。時間をかけて、私たちは寒さに適応したゾウの系統全体を生み出し、野生に戻して交配できるようにするだろう」
彼らによれば、「マンモス」のようなゾウの群れを、北極のツンドラ地帯に放牧すれば、草原の繁栄を促し、永久凍土の融解から放出される二酸化炭素の量を減らせるという。
他の科学者は懐疑的で批判的
しかし他の科学者らは、マンモスのようなゾウを遺伝子操作で生み出すことに懐疑的で、毛の長いゾウを1頭生み出すだけでも十分難しいとし、群れを作るのは困難だと指摘。
また、このような遺伝子改変が、ゾウに異常をもたらし、動物に苦しみをもたらす可能性があるなど、非倫理的だと批判している。
遺伝子技術の発展を監視する非営利団体「GeneWatch」のヘレン・ウォレス博士も、「これ(実験)は実用的な用途も、実際の科学的価値もないようです。これは宣伝目的でデザインされており、ほとんどの人がショックを受けると思います」と述べている。
これに対して「コロッサル・バイオサイエンス」の研究者らは、ゾウに試す前に、計画しているさまざまな遺伝子改変が有効で安全かどうかをテストするための実験だったと擁護している。(了)
出典元:BBC:Woolly mice designed to engineer mammoth-like elephants(3/4)