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トランプ氏が南アの大統領に示した写真など、白人虐殺とは無関係だと判明

トランプ氏が南アの大統領に示した写真など、白人虐殺とは無関係だと判明
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先日、アメリカのトランプ大統領は、南アフリカ共和国のラマポーザ大統領と会談したが、その際に示した写真や映像が、自身の主張とは全く関係のないものだと判明した。

 

白人への虐殺が起きている証拠と主張

 

トランプ氏は5月21日に、ラマポーザ大統領とホワイトハウスで会談し、南アフリカ共和国では白人の農民に対するジェノサイドが起きていると主張した。

 

その後、ラマポーザ氏にビデオを見せ、南アフリカの扇動的な政治家、ジュリアス・マレマ氏が「白人の喉を切り裂け」と叫び、「ボーア人を殺せ、農民を殺せ」と歌っている姿が映っていた。

 

また次の映像には、白い十字架が記された墓のようものが映り、トランプ氏はこれが1000人以上の白人農民の墓だと主張した。

 

さらにその後も、南アフリカで殺された白人の犠牲者だと主張して、最近起きた事件の写真付きの記事などをラマポーザ氏に見せ、その後に手渡したという。

 

コンゴ民主共和国で撮影された動画

 

しかしその後、事件の記事に添付されていた写真は、ロイター通信が2月3日に公開し、その後ファクトチェックチームによって検証された動画のスクリーンショットだったことが判明。

 

しかもその動画は、南アフリカとは全く関係のない、コンゴ民主共和国の都市、ゴマで反政府勢力「M23」との激しい戦闘後に撮影されたものだったという。

 

またビデオに映された白い十字架が記された墓のようなものは、実際には墓ではなく、慰霊碑であり、地元で2人のアフリカーナー(オランダ系白人)の農民が殺害された事件を受けて設置されたものだと明らかにされた。

 

実際、慰霊碑を設置したロブ・ホートソン氏はBBCに対し、これは埋葬地ではないとし、「これは慰霊碑です。しかも恒久的に建てられた慰霊碑ではありません。一時的な慰霊碑です」と述べている。

 

過激な政治家は、現政権の敵

 

さらに南アフリカの野党政治家、ジュリアス・マレマ氏は、確かに土地再分配や主要経済セクターの国有化といった急進的な改革を提唱していたが、彼が率いる政党「経済的開放の闘士(EFF)」は、昨年の総選挙でも得票率が9.5%で4位にとどまったという。

 

しかもラマポーザ大統領に同行した、南アフリカのジョン・スティーンハウゼン農務大臣(白人)も、トランプ大統領に対し、「(自分たちの政党が)ラマポーザ氏の多党連立政権に参加したのは、まさにこれらの人物(マレマ氏など)を権力の座から遠ざけるためです」と語ったという。

 

トランプ氏は、これらの写真や動画などを、南アフリカで白人の虐殺が起きている証拠だと強く主張したが、その多くには複数の虚偽と不正確な点が含まれていたという。

 

そもそも南アフリカで白人農民が大量虐殺されているという陰謀論は、南アフリカ出身のイーロン・マスク氏や、極右勢力の間で長年言われ続けていたが、ほとんどが虚偽の主張に基づいているそうだ。(了)

 

出典元:The Guardian:Trump’s evidence of South Africa ‘white genocide’ contains images from Democratic Republic of Congo(5/23)

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