米大学が核兵器に転用可能なプルトニウムを紛失、92万円の罰金を科せられる
アメリカの大学が、以前から管理していたプルトニウムを紛失していたことが分かり、罰金を科せられる見通しとなった。
昨年の捜索でプルトニウムを発見できず
その大学とはアイダホ州立大学。アメリカの原子力規制委員会(NRC)によれば、同大学は管理していた1gの兵器級プルトニウムの場所について、説明することができないという。
同大学は、書類では2003年から2004年にかけて、そのプルトニウムが同大学内にあったことを示していると主張している。
しかし2017年10月に大学の3つのチームが身体検査などをして捜索を行ったが、その物質を見つけることができなかったそうだ。
この結果、アイダホ州立大学には今後、8500ドル(92万円)の罰金が科せられる見通しとなった。
放射性物質を検知する方法を開発
そもそもアイダホ州立大学には核工学プログラムがあり、米エネルギー省のアイダホ国立研究所とともに研究を行ってきたという。
そしてこれらの兵器級プルトニウムは、核廃棄物がコンテナから漏れないようにする方法や、非合法で国内に持ち込まれた放射性物質を検知するための方法を開発するために使用され続けてきたとされている。
そして今回、大学側は14個あるプルトニウムのうち13個については確認できたようだが、残り1つについては確認できなかったとみられている。
量が少なく核兵器を作ることはできない?
このプルトニウムは原子炉内で使われ、核爆弾を作ることが可能とされているが、NRCによれば紛失したプルトニウムの量は僅かなため、実際は核兵器を作ることはできないという。
ただしある専門家は、NRCのこの意見に賛成はしているものの、このプルトニウムが放射能を拡散させるための「ダーティ爆弾」として使われる可能性もあると指摘している。
NRCも声明で次のように述べている。
「NRCは、認可を受けた放射性物質のコントロールを失ったことは、規制当局の重要な関心事であるとみなしています。権限のないまま所有されている可能性や、その物質の使用、不必要な一般人への被ばくの可能性があるからです」
今回のNRCの決定について、大学側はまだ正式なコメントを発表していないという。(了)
出典元:BBC:Idaho State University faces fine for losing plutonium(5/4)
出典元:NYPost:University fined after weapons-grade plutonium goes missing(5/5)