核兵器を運用していた米軍事システム、今後はフロッピーディスクを使用せず
アメリカの核兵器を管理運用していた軍事部門が、最近フロッピーディスクの使用を廃止したのをご存じだろうか。
「フロッピーディスクは使用しない」
核兵器の管理や運用を管轄する「地球規模攻撃軍団」のスポークスマンであるDavid Faggard氏は先日、Eメールにおいて「戦略的自動指揮統制システム(SACCS)は、現在も機能しているが、もはやフロッピーディスクは使用しない」と答えたという。
今回のアップデートは、オバマ元大統領の時に始められ、トランプ大統領の下でも続けられている核兵器運用システムの広範囲に及ぶ再点検の一部とされている。
フロッピーディスクを取り除く作業は6月に完了したが、当時は報道されておらず、先週になって軍事技術を報じているウェブサイト「C4ISRNET」が伝えたそうだ。
US nuclear weapons no longer rely on floppy disks to operate https://t.co/NhR7RBSgD2
— The Independent (@Independent) October 27, 2019
1970年代のコンピューターで管理
第8空軍のスポークスマンであるJustin Oakes氏も、次のようにメールで語っている。
「空軍は古くなったSACCSのフロッピーディスクの交換を終え、安全性の高い最新のデジタル・補助記憶装置・ソリューションに変えた。この交換作業はメッセージの保存容量を例外なく増加させる。また重要な核攻撃命令やコントロール・メッセージを受信し、処理するオペレーターの、対処する時間を増加させます」
そもそもSACCSは1970年代にさかのぼるIBMのSeries/1 というコンピューターで運用され、最近まで大陸間弾道ミサイルや核爆弾を搭載した爆撃機などの管理のために8インチのフロッピーディスクを使用していたという。
しかしソフトウェアの言語も旧式で、ハードウェアの部品のいくつかも少なくとも50年前のものがあり、もはやサポートされていなかったそうだ。
しかもこのような旧式のシステムは、米財務省や法務省、社会保障庁、退役軍人に関する省庁にも使用されているとか。
ただ旧式のシステムはインターネットに接続されておらず、IPアドレスもないため、ハッカーがフロッピーディスクに侵入することはできないことから、非常に安全だとされてきた。
ちなみに8インチのフロッピーディスクには80KBのデータ保存容量があるが、現代のフラシュドライブ(USBドライブ)はフロッピーディスク320万枚分以上の容量があるそうだ。(了)
出展元:INDEPENDENT:US nuclear weapons no longer rely on floppy disks to operate(8/26)
出展元:NYPost:Pentagon scraps obsolete floppy disk system controlling US nuclear arsenal(10/20)