6000匹の蜂に助けられ、蜂の巣で彫像を作るスロバキアのアーティスト
蜂の巣で彫像を作るという変わったアーティストがいる。スロバキア出身のTomáš Libertínyさんだ。
オランダ・ロッテルダムで活動する彼のモットーは、自然の知恵と美しさを探求すること。これまでの主流だったミニマリズム風の絵画やオブジェ制作に加え、数年前から、蜂を利用した彫像作りに取り組んでいる。
エジプトの王妃「ネフェルティティ」
Libertínyさんの最新作は、エジプト第18王朝の王妃ネフェルティティ(Nefertiti)の胸像だ。作品タイトルは「Eternity(永遠)」。王妃ネフェルティティは古代エジプトの美女の1人と考えられているが、どのような人物であったかについては、未だ謎に包まれている。
蜂の巣で作られた胸像には、見ての通り六角形の穴が無数に開いている。制作に携わった蜂の数は約6000匹だそう。
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海外メディアの取材を受けたLibertínyさんは、制作方法について詳しくは話していないが、「3Dのフレーム」を最初に作り、そこに蜂を放して巣を作らせるのが基本だという。もちろん、蜂は必ずしも均一に巣を作らないため、一部分だけが厚くなったり薄くなったりする。そういうときは、「ちょうど日本の盆栽を作るように」蜂を誘導して形を整えるとのこと。
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また、周囲の自然環境、特に生えている植物(花)の種類が巣の材料である蜜蝋の質に影響するので、制作場所にも気を配る必要があるそうだ。
制作期間は約2年。気の長い話だ。2019年に1度、制作途中の(蜂が群がった状態の)胸像がライブパフォーマンスとしてロッテルダム・クンストハル美術館で公開され、昨年末になってやっと完成。現在はアムステルダムのRademakers Galleryに展示されている。
「刹那」の概念に惹かれて
Libertínyさんephemeralが蜂の巣をアート作品に用いる気になったのは、巣の材料である蜜蝋が、「刹那」の概念と繋がっているからだそう。メディアにこう話している。
刹那(ephemeral)という概念に強く惹かれたため、蜜蝋を制作に取り入れようと考えました。全ての物は束の間の存在です。命の長い短いはありますが、最終的にはどんな物も消え去ります。こんな悲劇的な物のひとつが、ロウソクの材料として知られた蜜蝋だと思うのです。
Libertínyさんはネフェルティティの胸像以外にも、壺や現代的なオブジェを、刹那的な蜂の巣で制作している。
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(了)
出典元:boredpanda:60,000 Bees Helped Create This Honeycomb Nefertiti Statue(1/14)
出典元:TOMAS LIBERTINY