【新型コロナ】T細胞を使った抗体検査、米食品医薬品局が緊急承認
アメリカの食品医薬品局は3月5日、新型コロナウイルスの新しい抗体検査の使用について緊急承認を行った。
感染が判明していない人に役立つ
その抗体検査とは、バイオテック企業「Adaptive」とマイクロソフトが共同で開発した「T-Detect」だ。
これはリンパ球である体のT細胞を使って、新型コロナウイルスの独自のシグナルを検知し、感染したかどうかを判断する。
特に新型コロナに長く感染している人や、過去に感染したか明確な答えが得られていない人にとって、大いに役立つ可能性があると期待されている。
T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種のこと。体を異物から守る司令塔ともいうべき大切な細胞集団で、胸腺(thymus)で作られるため、頭文字を取ってT 細胞と名付けられている。
今までの検査はタイミングが重要
そもそも現在の抗体検査は、正確性がさまざま。しかもある研究では、新型コロナに対する抗体が、数カ月後には弱まるとする結果も出ているという。
抗体は、過去にウイルスに感染したかどうかを示すことができるが、現時点で検査はタイミングが鍵となっているそうだ。
実際に検査が早すぎても、抗体は検知されず、あまりにも遅いと、抗体が血流からすでに消えている可能性もあるそうだ。
過去の感染を長く記憶
しかし免疫システムの最前線で戦うT細胞は、過去の感染を長く記憶していると考えられ、T細胞の免疫応答がどのくらいの期間、アクティブなのかは分かっていないものの、過去の感染を追跡する法医学的研究には有望な候補と考えられている。
このためT細胞による検査は、今までウイルスに感染したという明確な証拠を得ていない多くの患者にも有効と考えられ、また今後は感染した人へのより良い治療法を見つけることに役立つ可能性があるという。
「T-Detect」処方医のWilliam Li博士も次のように語っている。
「私たちは犯罪現場での捜査のように、その痕跡を探しています。非常に多くの人々が病気にかかり、回復し、明確な診断を受けていませんでしたが、彼らはこれらの奇妙で持続的な症状に苦しんでいます。T細胞検査は、長期に及ぶCOVIDにおいて、患者が自分の居場所を特定するのに非常に役立ちました」(了)
出典元:ABC News:FDA authorizes new T-cell test that could be game changer for COVID-19 long haulers(3/9)