ウイグル人の弾圧に習近平氏など中国指導層が関与、リークされた「新疆文書」の全貌が明らかに
習近平国家主席をはじめとする中国の指導者たちが、ウイグル人への弾圧に関与していたことを示す文書が新たにリークされた。
NYTも一部を報じていた「新疆文書」
今回公開された文書は。「新疆文書」と呼ばれるもので、9月にウイグル人に対する人権侵害を調査しているイギリスの独立人民法廷「ウイグル法廷」に提出されたという。
この文書の一部は、2019年にニューヨーク・タイムズ紙も報道していたが、全て公開されたわけではなく、また「ウイグル法廷」での内容も完全には明らかにされていなかったそうだ。
「ウイグル法廷」はこの分野を専門とする3人の学者、エイドリアン・ゼンツ博士、デビッド・トビン博士、ジェームズ・ミルワード博士に文書が本物であるかどうか、また分析を依頼。そして今回文書の全貌が表面化した。
ウイグル政策に繋がる発言が含まれる
このリークされた文書には、習近平氏や李克強首相を含む中国共産党の指導者たちが、ウイグル人やその他のイスラム教徒に影響を与える政策に直接つながる発言をしたことが明らかになっているという。
これらの政策には、ウイグル人の強制収容、大量不妊手術、強制同化、再教育、工場での強制労働などが含まれていたそうだ。
文書を分析したツェンツ博士は、中国政府のトップが行った発言と、その後にウイグル人に対して行われた政策との間には、これまでに理解されていたよりもはるかに広範で詳細かつ重要な関連性があると述べている。
またこの文書には、中国の政府高官がウイグル人に対し、大量抑留や強制労働につながる措置を求めたことを証明するスピーチが含まれていたという。
ウイグル人女性に不妊手術を強制
中国政府のウイグル人に対する弾圧は、2013年に北京で、2014年に昆明市で、歩行者や通勤者を狙った残忍な2つの襲撃事件がきっかけだと言われている。中国政府は、これらの事件がウイグル人のイスラム教徒や分離主義者の仕業だと判断したという。
そして2016年以降、中国政府はウイグル人の「再教育」キャンプを建設し、彼らに綿花摘みなどの強制労働をさせてきたと言われている。
また人口抑制のためにウイグル人女性に強制的に集団不妊手術を施したり、子どもを家族から引き離したり、ウイグル人の文化的伝統を壊そうとしたりしていることが報告されている。
このような政策に対しアメリカや米国、カナダ、オランダを含む複数の国は、中国がジェノサイドや人道に対する罪を犯していると非難。
一方、中国政府はこれらの疑惑を激しく否定。新疆での取り締まりはテロを防ぎ、イスラム過激派を根絶するために必要であり、収容所はテロとの戦いで収容者を「再教育」するための有効な手段であると主張している。(了)
出典元:BBC:Leaked papers link top Chinese leaders to Uyghur crackdown(11/30)