ツイッターの新たなCEO・パラグ・アグラワル氏とは、どんな人物なのか?
11月29日、ジャック・ドーシー氏がツイッター社のCEOを退任すると発表した。
その後任にはパラグ・アグラワル氏が選ばれたが、どのような人物なのだろうか?
前・最高技術責任者(CTO)として働く
ツイッター社の新たなCEO(最高経営責任者)となったパラグ・アグラワル氏(37)は、以前は最高技術責任者(CTO)として働いていたという。
インドのムンバイ出身のアグラワル氏は、名門校であるインド工科大学ボンベイ校(IIT-B)でコンピュータサイエンスとエンジニアリングの学位を取得。
2005年に渡米し、スタンフォード大学で学び、「データの管理と統合における不確実性の取り込み」と題した博士論文で博士号を取得したそうだ。
卒業後、AT&T研究所、マイクロソフト、ヤフーでの勤務を経て、10年前にソフトウェアエンジニアとしてTwitter社に入社。当時はまだ社員が1000弱しかいなかった時代だったとか。
2017年にはTwitter社のCTOに任命され、機械学習やAIにおけるスケールアップの取り組みを行ってきたという。
IIT Bombay alumnus and Young Alumni Achiever Awardee (2019) @paraga is the newly appointed CEO of Twitter. Before joining Twitter, he worked at Microsoft, Yahoo!, and AT&T Labs. IIT Bombay wishes him the best for his new journey!#iitbombay #paragagrawal #TwitterCEO pic.twitter.com/VNIu7oYOe6
— IIT Bombay (@iitbombay) November 30, 2021
「後継者を信頼している」
ドーシー氏は退任するにあたって、「ソーシャルメディアの巨人が、すべての企業がいずれそうなるように、創業者から卒業した」とツイート。さらに「好奇心、探究心、合理性、創造性、要求、自意識、そして謙虚さを備えた後継者を信頼している」とコメントした。
また彼はメールにおいて、次のように述べたという。
「パラグ(アグラワル)は、この会社を好転させるための重要な決断のすべてを支えてきました。彼は心と魂を持ってリードしており、私が日々学んでいる人物です。当社のCEOとしての彼には、骨の髄まで信頼しています」
インド出身のCEOとは珍しいように思えるかもしれないが、実はアメリカの大手IT企業は、すでに多くがインド出身のリーダーとなっており、Google社のSunder Pichai氏やMicrosoft社のSatya Nadella氏、Adobe社のSantanu Narayan氏、IBM社のArvind Krishna氏も、インドで生まれアメリカに移住したと言われている。
年間収益を2倍にする目標
アグラワル氏はこれまで、2019年にスタートしたソーシャルメディアの分散型プロトコルを作成するTwitterのプロジェクト「Bluesky」を率いてきたという。
また暗号通貨のチームを率い、テクノロジーにおける差別にも取り組み、2018年には画像を自動的にトリミングするAIのアルゴリズムが、人種差別的・性差別な偏りがあるかどうか判断する調査にも参加したそうだ。
そしてこのアルゴリズムが、黒人より白人を、男性より女性を優先する傾向があることを把握し、公表したと言われている。
しかし現在、若年層がTikTokやInstagramに流れているため、ツイッターは成長の低迷に直面しており、誤情報やヘイトスピーチへの対処もしなければならない。
またアグラワル氏は2023年までに年間収益を2倍にするというTwitter社の戦略を継続し、ソーシャルメディア企業の運営方法を再構築するという長期的な野望に注力することになるという。
ツイッター社は、アメリカと日本に次いでインドで最も多くのユーザーを抱えているが、最近では、ヘイトスピーチや誤報に対するポリシーを巡りインドのモディ政権との間で議論が生じている。
気になる過去の発言とは?
ただ実は、アグラワル氏は過去に気になる発言をしている。2020年にTechnology Review誌のインタビューでは、次のように述べたという。
「私たちの役割は憲法修正第1条に縛られることではなく、健全な人々との会話に奉仕することです。そして私たちの動きは、より健全な人々の会話につながると信じることを反映しています。(つまり)私たちが行っていることは、言論の自由について考えることよりも、時代がどのように変化したかについて考えることなのです」
米国憲法修正第1条とは、表現の自由や報道の自由などを妨げる法律を禁止するもの。
つまりこの発言は、「表現の自由」に縛られず、ツイッター自身が投稿を適切・不適切であると判断するとした内容らしいが、果たして今後その基準はどうなるのだろうか?(了)
出典元:METRO:Who is the new Twitter CEO, Parag Agrawal?(12/1)
出典元:FOX BUSINESS:New Twitter CEO Parag Agrawal once said company is ‘not to be bound by the First Amendment’(11/30)