安倍首相の「うちで踊ろう」コラボ動画、海外メディアも皮肉たっぷりに取り上げる
新型コロナウイルスの影響で大都市を中心に外出自粛生活が長引く中、多くのスポーツ選手や芸能人が自身のSNSを通じてメッセージを送っている。
その中でも多くの人々を楽しませたのが、星野源の「うちで踊ろう」だ。「家でじっとしていたらできた」という曲に、楽器の伴奏やコーラスやダンスを付けてくれないかと、広くコラボを呼びかけた。
この動画には三浦大知や広瀬香美などのミュージシャンから、渡辺直美やバナナマンなどのエンターテイナーがコラボして人々を楽しませている。
大泉洋はお家感満載の姿でぼやいてみせており、コラボの仕方も自由だ。
そんな自由なコラボの中で、批判を受けたコラボがある。
お家で優雅にくつろぐ安倍首相のコラボ動画
4月12日、安倍首相は外出自粛のお願いと共に、こんな動画を投稿した。
安倍首相のInstagramやTwitterアカウント上で公開されたこの動画には「今度は星野源使ってご機嫌取りですか?」「この状況を作った張本人が」「星野源さんが大好きです。だからこそ余計に腹が立ちます。(これ、誰かの悪ふざけかと思ったら公式だった…)」「自粛なんてできないんです。金がなければ」などの厳しい声が寄せられている。
もちろん「ゆっくりできる時間があってほっこりしました」「国民みんなで乗り越えていきましょう」などの好意的な意見もあるが、批判の声に埋もれてしまっている状況だ。
海外メディアも批判的に取り上げた
批判の声はコメント欄を飛び出し、SNS中に広がった。その結果、批判の声はSNSを飛び出して各メディが取り上げている。
こうした反応はついに日本を飛び出して、海外メディアにまで届いた。
イギリスに本拠地のあるロイター通信は4月12日、「Japan prime minister criticised as tone deaf after lounge-at-home Twitter video(日本の首相が家でくつろぐ動画をTwitterに投稿して、感覚が鈍いと批判を受ける)」というタイトルで記事を公開した。記事内では、新型コロナウイルスの影響で、生活が苦しくなっている人を無視しているとの声があると紹介している。
記事のタイトルにある“tone deaf”には「感覚が鈍い」という意味の他に「音痴の」という意味がある。実際に安倍首相は動画内で歌ってはいないが、世間とのキーが外れているという皮肉が記事のタイトルに込められているのかもしれない。
政府は結果に満足か
大炎上とも思える結果だが、菅官房長官は4月13日の定例会見で「過去最高の35万を超える『いいね』をいただいている」としたうえで「若者に外出を控えてもらいたい旨を訴えるにあたり、SNSでの発信は極めて有効であると考える」と、手ごたえを感じているようだ。
安倍首相のコラボ相手である星野源は、インスタのストーリー上で次のようなメッセージを公開している。
「うちで踊ろう」の英語タイトルは「Dancing on the inside」。At home ではなく、insideにしているのは、仕事の都合で外出しなくてはいけない人も、踊れない事情がある人も含めて、お家に限らず心の中も含めた「うちで」踊ろうというメッセージが込められているそうだ。
事前や事後の使用承認のいらない自由なコラボが、この動画をきっかけに輝きを失わないことを祈るばかりだ。
出典元:毎日新聞「首相、星野源さん動画紹介 官房長官「多くの反響いただいた」(4/13)
出典元:ロイター通信「Japan prime minister criticised as tone deaf after lounge-at-home Twitter video」(4/12)