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新型コロナと613日闘病した男性、亡くなるまでにウイルスが約50回変異

新型コロナと613日闘病した男性、亡くなるまでにウイルスが約50回変異
Daniel Foster/Flickr

オランダで、新型コロナウイルスと613日に渡って闘病した72歳の男性が、亡くなった。彼はワクチンも接種していたのだが、亡くなるまでにウイルスが約50回変異したという。一体、その男性の身体に何が起こったのだろうか。

 

2022年2月に新型コロナで入院

 

この男性が新型コロナウイルスのオミクロン株に感染し、アムステルダム大学医療センターに入院したのは、2022年2月のこと。すでにワクチンを何回か接種していたにもかかわらず、入院時には抗体反応がほとんどなく、抗体を作るための治療にも反応がなかった。

 

さらに21日後には、抗体治療のための医薬品であるソトロビマブに耐性がある変異株を発症。2023年10月、血液疾患の再発により彼は亡くなったのだが、それまでにウイルスは彼の体内で約50回変異していたという。

 

彼は613日に渡って高いウイルス量を保持しながら、新型コロナウイルスに陽性反応を示し続けており、新型コロナウイルスの最長感染記録となっている。

 

免疫不全だった男性

 

ワクチンや抗体治療を受けていたにもかかわらず、なぜ彼の身体はウイルスを振り払うことができなかったのか。それは彼の病歴に理由があった。

 

彼にはリンパ腫の病歴があり、その治療の結果、抗体を産生したりする大切な役割を持つ白血球が消耗してしまっていたのだ。男性は免疫系がウイルスを除去できない、免疫不全の状態にあった。

 

新種の病気が発生する可能性

 

アムステルダム大学実験分子医学センター(CEMM)のマグダ・ヴェルゴーウェ博士は、このような症例により致死性の新種の病気が発生しかねないと警告。感染が持続している免疫不全患者は、ウイルスのゲノムを監視し続けることが重要だと強調している。

 

今回の男性のケースでは、彼の体内で生まれた変異株は他の誰にも感染していない。

 

この症例は、4月27~30日にバルセロナで開催される欧州臨床微生物・感染症学会議(ESCMID)で発表される予定だ。

 

参考:TIME「COVID Patient’s Infection Lasts Record 613 Days—and Accumulated Over 50 Mutations」(4/18)

参考:Daily Mail「Longest ever case of Covid lasted 613 DAYS and turned into ultra-mutated variant」(4/18)

参考:Science Alert「New Viral Variant Evolved Inside Man With Record COVID Infection」(4/24)

アイキャッチ画像出典元:Daniel Foster/Flickr

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