旧ソビエト時代に生物兵器を開発していた、ロシアの研究所で爆発事故が発生
ロシアにある生物研究所で、爆発事故が起き、その詳細について声明が発表された。
ソビエト時代に生物兵器を開発
その事故が起きたのは9月16日、場所はシベリアの都市、ノヴォシビルスク付近にあるコリツォヴォの街とされている。
ここには旧ソビエト時代に生物兵器を開発していた「Vector」と呼ばれる国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センターがあり、エボラや天然痘ウィルスのサンプルなどが保管されていたという。
しかしその施設でガスタンクの爆発事故が起き、火災が発生したことが、「Vector」によって明らかにされた。
「大惨事は起きていない」
「Vector」の声明によれば、この爆発事故は6階建ての建物の5階部分にある検査ルームで、修理中に起きたという。
当時、建物内では生物学的な材料を使った作業は一切行われておらず、この爆発で1人がケガ負ったそうだ。
また「Vector」のスポークスマンは、「この事故で生命への危険はなく、生物学上の大惨事も起きていない。私たちは通常通り作業を行っている」と述べた。
A gas explosion shook a Soviet-era biological weapons lab in Siberia that houses samples of Ebola and smallpox.
The research center says there is "no danger to life." https://t.co/FtcsQ2s8kE
— ABC News (@ABC) September 17, 2019
エボラのワクチンも開発
1974年に建てられた「Vector」は、世界でも最も大きな研究所と呼ばれ、天然痘ウィルスを保管している2つの施設のうちの1つだという。もう1つはアメリカのアトランタにある「米疾病管理予防センター」になるそうだ。
ソビエト時代には「Vector」で働いていた研究者が、炭疽病や野兎病を含む伝染病の研究をしており、また生物兵器を作るために多くを学んでいたと言われている。
現在は伝染性の病気を診断し、治療するツールを開発。HIVや豚インフルエンザ、エボラなどの治療薬開発に特化しているという。
実際、今年初めにはエボラ・ワクチンの臨床試験を完了させ、実際に患者へ投与する準備を整えていたそうだ。
2004年には「Vector」で働いていた科学者が、誤ってエボラ・ウィルスがついた針を自分に刺してしまい死亡。このため安全面での懸念が広がったが、世界保健機関(WHO)はバイオ・セキュリティ上の安全基準を満たしているとし、懸念はないと発表している。(了)
出典元:ABC News:Explosion rocks Soviet-era laboratory housing smallpox and Ebola samples(9/17)