妊婦のプルーン過剰摂取に要注意、赤ちゃんの心臓に影響が出る可能性
日本の国立研究開発法人である栄養研究所が、素材情報データベースを更新し、「セイヨウスモモ (プルーン)」に関する安全情報を追加した。
貧血対策の鉄分補給としてプルーンを推奨するサイトも
妊娠中は、出産に向けて血液量が増加することなどから、鉄分の欠乏による貧血になりやすいと言われている。そのため貧血対策には、鉄分の摂取が欠かせない。
このため健康サイトの中には、鉄分を補うために、含有量の多い乾燥プルーンなどをすすめているものもある。
また生のプルーンには、胎児の神経管形成に必要な葉酸が含まれていることから、妊婦に摂取を勧めているサイトや病院もあるようだ。
しかし「医療基盤・健康・栄養研究所」のホームページは先日、「プルーン」の過剰摂取に注意を促し、実際に起こった症例を紹介した。
4から5個を接種していた妊婦
そのホームページによれば、日本人の36歳の妊婦が、鉄分を補給するため、1日に4から5個「プルーン」を摂取していたが、その後34週目になる胎児の心臓のエコーに三尖弁逆流(血液の逆流)が認められたという。
そして40週目に出産後、生まれた子供は酸素飽和度が低下し、入院。心臓のエコーで、右心室が肥大し、血管の内腔狭小化が見られたそうだ。
この時、プルーンの中に含まれるポリフェノールの過剰摂取により、胎児の血管が狭まったり閉じたりする「動脈管早期収縮」が起きたが、治療により改善した。
実は昨年の中国新聞の記事(2020年7月)でも、ポリフェノールを妊娠後期に大量に取り続けると、「胎児動脈管早期収縮」を引き起こしかねず、胎児が心不全になることもあると伝えている。
疑われる症例は5年ほど前から
ポリフェノールは植物が光合成するときに作られる苦みや色素の成分で、例えばブルーベリーに含まれるアントシアニンや、緑茶のカテキンなども代表的なポリフェノールとされている。
またポリフェノールには抗酸化作用があり、健康や美容にいいとされ、ルイボス・ティーやチョコレート、赤ワインにも多く含まれているそうだ。
中国新聞の記事によれば、実はポリフェノールの大量摂取が疑われる症例が報告されるようになったのは、5年ほど前(現時点から6年前)のことだという。
すでに複数の研究論文も発表されており、特に目立つのは、ルイボス・ティーや紅茶、そしてプルーンを好んで摂取していた妊婦の例だったそうだ。
ただしどこからが「過剰」になるのか、明確な基準はないという。
中国新聞の記事には、症例における摂取量なども書かれているので、是非参考にしていただきたい。(了)
出典元:医療基盤・健康・栄養研究所:素材情報データベース
出典元:中国新聞:ポリフェノール、妊娠後期の取りすぎ注意 土谷総合病院の森田医師(2020/7/28)