幻の動物とされたミニサイズの鹿「ネズミジカ」の撮影に成功
大きさはウサギ程度。純粋なシカとは言えないが、近縁のマメジカ(豆鹿)科に属する「ネズミジカ(silver-backed chevrotain:mouse deer)」。
29年前に目撃されて以来、姿を確認できなかったこの幻の動物が、ベトナムのジャングルに設置されたカメラで撮影された。
2017年から2018年にかけて捜索
国際的な野生動物保護団体「Global Wildlife Conservation(GWC)」は、ベトナムの研究機関や地元コミュニティと協力し、2017年から2018年にかけて、野生のネズミジカを捜索した。
その間、ジャングルに設置したカメラで、計275枚のネズミジカの写真を撮ることに成功。その一部が、11月11日に公開された。
野生のネズミジカが写真に撮られたのは、これが初めてのこと。
幻の動物
光線の当たり方によって体表が銀色に輝くネズミジカは、近年、「幻の動物」と思われていた。
1910年に、ベトナム南部で4匹の個体が捕獲され、存在が認められたが、その後に捕獲されたのは1990年に1匹のみ。野生動物保護団体GWCによれば、生態についても現存数についても、何も分かっていないとのこと。
今回のネズミジカ捜索プロジェクトを指揮したGWCの動物学者・An Nguyen氏は、写真撮影の成功に感激してこう話す。
仕掛けたカメラに、胴体が銀色に光るその動物が写っているのを見て、我々は驚くと同時に狂気しました。
なぜかというと、ネズミジカは長い間、想像の中にしか存在しないのではないかと思われていたところがあるからです。
今回、ネズミジカの生存が確認できたことで、今後の保護対策のへの一歩が踏み出せたと言えます。
生態の解明はこれから
ネズミジカの現存は確認された。だが、それ以外のことは何も分かっていない。GWCアジア支部の責任者であるAndrew Tilker氏はこう話す。
写真に写ったということは、ベトナムの広範囲にいるとも考えられますし、この2匹だけということもあり得ます。その点については、全く何もわかりません。
ただ我々は、広範囲に生息しているとは仮定せず、注意深く事を進めたいと思っています。
(了)
出典元:Global Wildlife Conservation:FOUND: Miniature Fanged ‘Deer’ Rediscovered Tiptoeing Through Vietnam’s Coastal Forests(11/11)
出典元:Mashable:The ‘mouse deer’ lives(11/12)