【動画】深海で生態系に影響を与え続ける「クジラの死後」とは
Whale Fall(ウェール・フォール)という言葉をご存じだろうか。巨大なクジラが死んで海に沈むと深海の貴重な栄養源となる。Whale Fallは、死骸を中心に形成される生物群を示す言葉だ。日本語では「鯨骨生物群集」と呼ばれている。
そんなWhale Fallを記録した貴重な映像がある。
赤ちゃんクジラの死骸が守る生物たち
その映像がこちらだ。
海洋調査を行っている「Ocean Exploration Trust」の、 E/Vノーチラス号のカメラがWhale Fallをとらえると、乗員から感嘆の声が上がっていることから、いかに貴重な光景なのかがよくわかる。
音声によると、この死骸は4~5メートルほどの赤ちゃんクジラのもの。すでに骨だけの状態だが、肋骨のあたりには生物が密集していることがわかる。
生態系への影響は数年から数十年続く
クジラの死骸は、腐敗が進むにつれて硫化物の供給源となり、微生物の命をつなぎ、食物連鎖によって様々な命をつなぐのだ。
骨の横のフカフカしているような地面は、微生物によるもの。骨にくっついている茶色いものは、snot flower worm(スノットフラワーワーム)という骨を食べるワームだ。
クジラは骨だけになっても、数年から数十年に渡って深海の生態系に影響を与えるという。死んだ後にまで影響を残す、クジラのスケールの大きさを感じさせる映像だ。撮影されたのは2019年だが、2023年1月28日にリマスター版が公開された。(了)
参考:National Ocean Service[「What is a whale fall?」