イギリスで蝶の数が2019年以降、最も多く記録される
イギリスでは今年の夏、蝶や蛾の数が最も多く記録されたが、その一方で減少している種もあると言われている。
150万匹以上の蝶や蛾を記録
野生生物保護団体「バタフライ・コンサベーション」の調査によれば、7月14日から8月6日の間に150万匹以上の蝶と蛾が記録されたという。
特にイギリス全土で最も多く観察されたのは、「ヨーロッパアカタテハ(red admiral)」で、調査では24万8077匹が記録されたそうだ。
今回の蝶の多さは、2019年以降で最高レベルに達したと言われているが、一方長期的にみると、13年前の観測を開始して以来、多くの種が大幅に減少している。
調査に携わったゾーイ・ランドル博士は、蝶は環境の健全さの指標になっており、2023年の様々な天候から恩恵を受けているとし、次のように述べた。
「雨と暑い日が組み合わさって、幼虫の餌となる緑豊かな植物が生い茂りました。ヨーロッパアカタテハは、今年は本当に良い夏を過ごしました。昨年の数より、338%も増加しました。特にこの蝶は、少なくともイギリスでの気候変動において、よく対応し、暮らしています。通常、この蝶は、地中海沿岸や北アフリカに生息しているのです」
全国のボランティアが観察に参加
今回の調査で科学者たちは、全国のボランティアが収集したデータを用いて、蝶の生息数と様々な種の分布レベルを測定したという。
しかも今年は、ウェールズやスコットランド、北アイルランド、イングランドなどイギリス全土で、ボランティアの参加者が増加し、カウント数も増加したそうだ。
ただ自然保護活動家たちは、今年について、雨の多い天候のおかげで蝶が恩恵を受けたと考えている。
実際に2022年の長い干ばつと暑さの時期には、1カウントあたり平均9匹だったのに対し、今年は12匹が記録されたという。
また「ゲートキーパー(学名:Pyronia tithonus)」と呼ばれる蝶は2番目に多く、合計で22万2896件も目撃され、昨年より12%増加したそうだ。
ただし長期的に見れば、この蝶は2010年以降28%減少しているという。
また他にも「リングレット」や「コモンブルー」、「スペックルドウッド」などの蝶も、昨年から長期的に減少していると言われている。(了)
出典元:BBC:UK butterfly numbers at highest level since 2019(9/15)