ロシアのナワリヌイ氏が刑務所で死亡、西側各国がプーチン大統領を批判
ロシアの反政府指導者であるアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)が2月16日、北極圏にある刑務所で死亡した。
「体調が悪い」と訴えた後、意識喪失
ロシアのヤマロ・ネネツ自治管区にある刑務所に投獄されていたナワリヌイ氏は16日、散歩の後で「体調が悪い」と訴えた後、意識を失ったという。
その後、刑務所の医師が対応し、救急車を呼ぶなどしたものの、死亡が確認された。ナワリヌイ氏は15日、控訴裁判においてリモートで出廷した際には健康そうに見えたそうだ。
ナワリヌイ氏は長年、プーチン大統領の汚職疑惑などを追求し続け、政権を批判してきたが、2020年には神経剤の「ノビチョク」を盛られ、ドイツで治療を受けた。
回復後にはロシアに帰国したが、その際に逮捕され、19年の有罪判決を受けた後に投獄されていた。
米やEU、ドイツの高官も批判
まだナワリヌイ氏の死因は調査中とされているが、「ノーバヤ・ガゼータ」紙の編集者、ドミトリ・ムラトフ氏は「ロイター通信」に対し、ナワリヌイ氏の死は刑務所での虐待によってもたらされた「殺人」だと語った。
またナワリヌイ氏の死の知らせを受け、西側政府は、ロシアのプーチン大統領への批判を強めている。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、ナワリヌイ氏の死は「プーチン大統領の残虐行為のさらなる証拠」と述べ、直接非難した。
またEU理事会議長のシャルル・ミシェル氏は、SNSの「X」において、次のように投稿した。
「アレクセイ・ナワリヌイ氏は自由と民主主義の価値観のために戦った。理想のために、彼は究極の犠牲を払った。EUは、この悲劇的な死に対する責任は、ロシア政権にあるととらえている」
ドイツのクリスティアン・リンドナー財務大臣も「アレクセイ・ナワリヌイ氏はロシアの民主主義のために戦った。そのためにプーチン大統領は、彼を拷問して殺害した」と非難している。
ウクライナのゼレンスキー大統領も「ナワリヌイ氏の死の背後に、プーチン大統領の関与があることは明らかだ」と述べた。
イギリスの外務省も、ロンドンに駐在するロシア大使を召還。「私たちは、ロシア当局に全責任があると考えている」と伝えたという。
一方、ロシア大統領のドミトリー・ペスコフ報道官は、西側諸国指導者の発言は「まったく言語道断であり、絶対に容認できない」と非難した。
「彼らは裁かれることになる」
バイデン大統領は2021年、ナワリヌイ氏が刑務所内で死亡した場合、ロシアに「壊滅的な」結果がもたらされると警告していたという。
またナワリヌイ氏の勇気と、投獄される可能性があるにもかかわらず、ロシアに帰国した決断を称賛。次のように語っていた。
「彼は汚職や暴力、プーチン政権が行っていたあらゆる悪事に対して勇敢に立ち上がった。それに対して、プーチン大統領は彼に毒を盛り、逮捕させ、でっち上げた犯罪で起訴させ、懲役刑を言い渡し、隔離した。刑務所の中でも彼は真実を訴える、力強い代弁者だった」
ナワリヌイ氏の妻であるユリアさんは死の知らせを受け、ミュンヘン安全保障会議でのスピーチで、次のように語った。
「プーチン大統領、彼のスタッフ、彼の友人、政府には、彼らが私たちの国、私の家族、私の夫に対して行ったことに対して、罰せられることを知ってもらいたいです。彼らは裁かれることになるでしょうし、その日は近いうちに来るでしょう」
またロシア国内でもナワリヌイ氏の簡易的な記念碑が作られ、支持者らが献花したが、その後、約100人が逮捕されたという。(了)
出典元:The Guardian:Western leaders point finger at Putin after Alexei Navalny’s death in jail(2/16)