米前大統領の息子、ハンター・バイデン氏がネタニヤフ首相を痛烈批判

ジョー・バイデン前大統領の息子である、ハンター・バイデン氏の発言が注目を集めている。
「ネタニヤフ首相は、『狼少年』だ」
ハンター・バイデン氏は、7月21日に公開されたYouTuberのアンドリュー・キャラハン氏との3時間に及ぶインタビューにおいて、イスラエルのネタニヤフ首相を痛烈に批判。
ネタニヤフ首相が、ガザ地区で攻撃を継続しているのは、現在進行中の汚職裁判によって、「自身が刑務所へ収監されるのを逃れるためだ」と述べた。
またバイデン氏は、ネタニヤフ首相が先月、イランに対して12日間の戦争を仕掛けたことについて、国内の政治問題と法的問題から目をそらすための試みだと主張。
ネタニヤフ首相が1996年以来、イランの核兵器保有の可能性について警告してきたことについても指摘し、次のように述べた。
「彼(ネタニヤフ首相)は22年間もイランが核兵器開発の瀬戸際にあると言い続けてきた。彼は常に間違っていた。彼は『狼少年』だ。そしていつか狼(少年)は追われる。彼らには他に選択肢はない」
「モンスター」
バイデン氏はさらに、ネタニヤフ首相が2023年10月7日の「ハマス」による攻撃を阻止できなかったことについても、疑問を投げかけた。
「モサド(イスラエルの情報機関)が(ハマスの)攻撃計画を1年前に知っていたのなら、なぜ攻撃が起きた時に南部に部隊がいなかったのか?なぜ対応に7時間から12時間もかかったのか?」
イスラエルのメディアも、軍の情報機関と国内治安機関である「シンベト」が「ハマス」の攻撃計画を把握していたと報じており、「ネタニヤフ首相が事前に攻撃を知っていたのではないか」という疑念も浮上している。
またバイデン氏はネタニヤフ首相が、イスラエル人の人質の家族に共感を示さないと指摘し、彼を「モンスター」と呼んだという。
確かに、「ハマス」側が停戦交渉で人質を解放すると提案しているにも関わらず、ネタニヤフ首相は全く応じていない。
人質の家族たちも長年、ネタニヤフ首相が自分たちを無視していると非難し、「人質の解放を最優先にするよう」求め、現在もデモを行っている。
父親のガザ地区での政策を擁護
その一方で、バイデン氏は、父親のジョー・バイデン前大統領の政策を擁護。イスラエルへの爆弾「バンカーバスター」の供給停止(これは、一部のユダヤ人有権者の怒りを買った)や、ネタニヤフ首相にラファの国境検問所を開放して人道支援を行うよう圧力をかけたとし、次のように語った。
「少なくとも、父は何度も何度も言っていた。唯一の解決策は二国家共存だと。彼は何度も何度も、(イスラエルに)圧力をかけていた」
しかし2024年の大統領選挙では、激戦州のミシガン州で、バイデン氏の政策に抗議する親パレスチナ派の70万人が、カマラ・ハリス前副大統領に票を投じなかったという。
一方、トランプ氏は、ガザ地区とレバノンでの戦争終結を誓い、中東和平を実現すると約束して、アラブ系アメリカ人とイスラム教徒の有権者の支持を獲得した。
実際、親パレスチナ派の人々の中には、バイデン政権の民主党よりも、トランプ氏の方が、ガザ地区での状況をより良くしてくれると信じて、投票した人もいると言われている。
しかし今年の1月にバイデン政権がトランプ氏と協力して仲介した、イスラエルと「ハマス」との停戦・人質合意は、3月に崩壊。イスラエル側が一方的に停戦を破棄し、それ以来、ガザ地区での戦闘は停止していない。
またイスラエル側は、さらにガザ地区を包囲し、人道支援物資の搬入を阻止。現在、ガザ地区では数多くの子供たちが、餓死していると報じられている。
ハンター・バイデン氏は、トランプ大統領がネタニヤフ首相に「フリーハンド」を与えていると非難し、現状はさらに悪化していると指摘。イスラエル政府自体が「ユダヤ人に起きた最悪の事態だ」と述べた。
ハンター・バイデン氏の妻はユダヤ人だとされるが、このインタビューで彼は「私はイスラエル国家の存在権を固く信じているが、パレスチナ国家の存在権も固く信じている」とし、「二国家解決こそが、唯一現実的な前進の道だ」と述べた。(了)
出典元:Forward:‘Where are they now?’ Hunter Biden blasts protesters of his father’s pro-Israel polices, calls Netanyahu a ‘monster’(7/22)
出典元:Aljazeera:LIVE: Israel attacks kill more than 80 in Gaza as starvation intensifies(7/22)