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国連のグテーレス事務総長が「核による絶滅」を警告、核廃絶を訴える

国連のグテーレス事務総長が「核による絶滅」を警告、核廃絶を訴える
Twitter/António Guterres

国連の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が8月1日に開催され、その冒頭で国連のグテーレス事務総長が演説を行い、核兵器の脅威について世界に警鐘を鳴らした。

 

「1つの誤解で核による絶滅」を警告

 

ニューヨークの国連本部で開かれた会議において、グテーレス事務総長は演説で「人類はたった一つの誤解、一つの誤算で、核兵器による絶滅を迎える」と述べた。

 

また事務総長は、中東とアジアにおける紛争はすでに「破局に向かっている」との見方を示し、ウクライナや朝鮮半島でも危険な段階にあるとした。

 

さらにグテーレス氏は「今回の会議は、我々の集団的平和と安全保障が重大な岐路にある時に、または冷戦の高まり以来、核の危険が高まっている時に開催されるものだ」と述べたという。

 

核拡散防止条約とは?

 

核拡散防止条約(NPT)は、核兵器の拡散を防ぎ、最終的には核兵器のない世界を実現することを目的として、1970年に発効した。

 

現在、191カ国が加盟しており、アメリカ、中国、ロシア(当時はソ連)、イギリス、フランスの5大核保有国は、核兵器の廃絶に向けて交渉すること、また核兵器を持たない国は平和目的の原子力開発が保証される代わりに、核兵器を保有しないことを約束したものだ。

 

しかしNPTに加盟しなかったインドとパキスタンは、その後、核兵器を保有。北朝鮮は批准したものの、後に脱退を表明している。

 

またイランにも核開発の疑惑があり、ウクライナ侵攻では加盟国のロシアが、核兵器の使用をちらつかせ、脅している。

 

核兵器廃絶への努力を求める

 

この状況を踏まえ、グテーレス事務総長は演説で、次のように述べた。

 

「これまで核の惨禍がなかったのは、主に偶然によるものだ。これまで私たちは並外れた幸運に恵まれてきた。しかし、幸運は戦略ではない。この会議は、確実な惨禍を回避するための方策を打ち出し、人類を核兵器のない世界に向けた新たな道筋に導く機会です」

 

「兵器は新たな高みに達している。世界中の兵器庫には約1万3000個の核兵器があり、『偽りの安全』を求める国々は『終末兵器』に何千億ドルも費やしている。このことはすべて、核拡散のリスクが高まり、エスカレーションを防ぐガードレールが弱まっている時、中東や朝鮮半島からロシアのウクライナ侵攻まで、核を背景とした危機が疼いている時に、起きているのです」

 

その上でグテーレス氏は、77年来の核兵器使用禁止の規範を早急に強化・再確認すること、核兵器削減の新たな約束で核兵器廃絶に向けて徹底的に努力すること、中東とアジアで高まる緊張に対処し、核技術の平和利用を促進することを呼び掛け、次のように訴えた。

 

「将来の世代は、奈落の底から後退するために、あなた方の関与に頼っている。根本的な試練に向かい合い、核兵器廃絶の雲をきっぱりと取り払うのは、私たちの時代においてなのです」(了)

 

出典元:METRO:The world is ‘one step from nuclear annihilation’, UN chief warns(8/1)

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