イギリスの科学者が、プラスチックを分解させる強力な酵素を偶然作り上げる


イギリスの科学者がプラスチックを食べるバクテリアの調査を進める過程で、偶然強力に分解させる酵素を作り出したとして、注目されている。

 

「PETase」と呼ばれる自然由来の酵素

 

この研究を行ったのは、イギリスのポーツマス大学の研究者たち。

 

彼らはアメリカ人研究者と協力し、オックスフォードシャーにあるシンクロトロン施設「ダイヤモンドライトソース」で、「PETase」と呼ばれる自然由来の酵素の分子構造を分析するため、それらに太陽光の何倍もの明るさのX線を照射したという。

 

さらにそれによって作られた3Dモデルを使い、分子の中でもっとも活発な部分を再設計したところ、偶然プラスチックをより強力に攻撃できる酵素を人工的に作り上げたそうだ。

 

実際に、それらはペットボトルの原料「ポリエチレンテレフタラート(PET)」を従来よりも早く分解させ、さらに同じようにプラスチック製造に使われる「ポリエチレンフランジカルボキシレート(PEF)」にも大きな効力を発揮した。

 

しかもそれらはポリエステルからペットボトルを作るという製造段階を逆行させ、原材料にまで変化させることも明らかとなる。

 

研究に携わったJohn McGeehan教授は、「ポリエステルをオリジナルの素材にまで戻せば、その素材はまたプラスチック製造に使えるようになる。と同時に、石油の利用を減らすことができるかもしれません。(中略)そして、我々はリサイクルの輪を閉じることになります。本当の意味でのリサイクルの実現です」と語っている。

 

Facebook/Caroline Power

バクテリアがプラスチックを食べるよう進化

 

この「PET」はスーパーなどで販売されている水やジュース、ソフトドリンクのペットボトルの70%に使われているという。

 

無論、現在ペットボトルはリサイクルされているが、投棄されたものは数百年間も分解されず、海や土に残り続け、これまでも大きな問題となってきた。

 

また今回の研究のきっかけになったのは、日本の大阪府堺市にあるリサイクルセンターで発見されたバクテリアとされ、それらはプラスチックを食べるよう進化したと考えられている。

 

このバクテリアは「イデオネラ・サカイエンシス」と呼ばれ、ペットボトルや類似の容器を消化する際に、「PETase」を出すことが判明。ただしこの「PETase」がどのように進化したのかという疑問が浮上していたという。

 

そこで今回、イギリスの研究者がこの「PETase」を分析していたところ、強力な酵素を偶然作り上げることとなる。

 

もっともまだこの酵素を活用するには、分解速度を加速させるなど課題があるとされているが、これがプラスチックを減らす第一歩となるかもしれない。(了)

 

 

出典元:BBC:Recycling hope for plastic-hungry enzyme(4/16)

出典元:METRO:An accident in a lab may have just solved the world’s plastic problem(4/17)