世界で初めて蛍光を放つカエルを確認、暗闇に浮かび上がる緑色の光が美しい
初めて蛍光を放つカエルが南米のアルゼンチンで確認され、話題となっている。
●アマゾン流域でよく見られるカエル
科学メディアのNewScientistによれば、そのカエルとは樹上性の「ブチアマガエル(Hypsiboas punctatus)」の仲間だという。
全長は約3cm。全身が青緑色をしており、所々に白や黄色、赤みがかった斑点を浮かべているそうだ。
アマゾン流域のいたるところで通常よく見かけられるカエルで、主に夜明けや日暮れ、夜に活動的になるとされている。
●薄暗くなると30%も明るくなる
この蛍光を発するカエルを確認したのはアルゼンチン、ブエノスアイレスにある「Bernardino Rivadavia自然科学博物館」のJulián Faivovich氏。
彼はそのカエルの色素を調査していたところ、思いもかけず蛍光を放つことを発見したという。
Faivovich氏はNewScientistの取材に対し「計画していたいくつかの実験のために、私たちはカエルの皮膚組織に紫外線の光を当てなければなりませんでした。その時、カエル全体が蛍光を発していることに気づいたのです」と語っている。
さらにFaivovich氏と仲間の研究者らはカエルの蛍光物質を突き止め、それがリンパ液と皮膚腺の中にあることを発見。
その物質の性質により、満月の夜には19%まで、黄昏時になると30%も明るくなることが判明したそうだ。
●ある波長を吸収し、別の波長の光を放つ
その蛍光物質はカエルの光受容体にとって感度の低い波長を吸収し、感度の高い波長の光を放つとされている。
しかしこの特性がどんな目的を持ち、何の役に立つのかは分かっていない。
現時点ではカエルが互いにコミュニケーションをとる際に、何らかの役割を果たしていると考えられているそうだ。
●他にも存在している可能性あり
研究者らによれば、蛍光を放つカエルはこれまで考えられてきたよりもずっと多く分布している可能性があり、さらにカエルを捕獲して調べる必要があるという。
実際、カエルは知られているだけで約5000種もいるとされ、「ブチアマガエル」だけが唯一蛍光を発するとは考えにくいそうだ。
フロリダ大学のDavid Blackburn氏は取材に対し次のように語っている。
「他のカエルにはない特徴を持ったものはごくわずかです。よってこの特性は、恐らく広く行き渡っているでしょう。しかし同時に、どんな環境のもとで蛍光を放つようになったのか、それがアマガエルだけに共通するものなのか、他の状況下においても見つけることができるのか、などが疑問点となってきます」(了)
出展元:NewScientist:Luminous frog is the first known naturally fluorescent amphibian(3/17)