商業用ドローンがAIによって武器になる?最新の研究で明らかに
最新の研究により、人工知能(AI)を用いることで商業用のドローンが兵器として転用される可能性があることが明らかになった。
近い将来、商業用ドローンが悪用される?
今回の研究結果を明らかにしたのは、複数の機関の共同研究により発表された報告書「人工知能の悪意ある使用(The Malicious Use of Artificial Intelligence)」。
報告書によると、商業用ドローンはテロリストや犯罪者がAIと併せて使用することにより、プロパガンダを発信したり、大規模なサイバー攻撃を仕掛けることができる可能性があるという。
さらにそのようなドローンの利用方法は遠い将来に起こりえる可能性のあるものではなく、現在既に可能であるか、あるいは非常に近い将来可能になるとのことだ。
報告書の制作に携わった英国・ケンブリッジ大学の研究所は、テロリストや犯罪者といった悪意ある者がドローンを拡散させる可能性があることを指摘。
“自動走行車両が大規模な衝突を起こしたり、商業用ドローンがミサイルへと転じたり、さらには重要インフラが身代金と引き換えに乗っ取られたり”する可能性があるとしている。
Is 2018 Going to be “The Year of the Drone”? – Commercial UAV News https://t.co/XzbLvUoRSo pic.twitter.com/E8Mstq2elF
— Kuang-Chi (@KuangChiGCI) February 23, 2018
ドローンだけではないAIが持てる脅威
AIを用いることによっては、従来は人が操作することによってのみ可能であったタスクを、人の知能無くして遂行可能とさせてしまう。
その一例として挙げられるのがドローン技術と共に、自動運転車やオンライン上のカスタマーサポート、さらには自動発話認識機能などだ。
このようなAIを用いた技術は既に我々の生活の中に徐々に浸透してきているが、一方では様々なリスクをも孕む。
報告書においては、AIはフェイクニュースを作成し“これまでには考えられなかった規模で世論を操作する強力なツール”として機能する可能性をも秘めるとしている。
また報告書の共同執筆者の一人であるSeán Ó hÉigeartaigh教授は、「報告書ではこの先5年から10年の間に世界がどのようになり得るかを想像している」と報告書の意義について説明しつつ、AIを“ゲームチェンジャー”であるという。
「我々はAIの濫用による日常的な危機に満ちた世界に住むことになるかもしれない。このリスクは現実であり、我々はこれらの問題において主導権を握る必要がある。今我々が行うべき選択はあり、我々の報告書は世界中の政府や研究機関、個人に行動を呼びかけるものだ」
AIが持てるリスクをどう軽減させるのか
さらにオックスフォード大学の研究機関で主任研究員を務めるMiles Brundage氏は市民や組織、そして国家の安全上、AIが幅広い影響を及ぼす可能性も指摘している。
一方、報告書では、AIが持てるリスクを軽減させるため、どのようにすればハッキングされにくいハードウェアやソフトウェアを制作できるか、あるいはどのような法や国際的な規制が有効であるかということにも言及している。
AIによる新たな技術が次々と開発され、これまで考えられなかった可能性が開けつつある一方、AIがなかった時代には存在し得なかったリスクまでもが出現し始めた現代。
そのリスクを軽減させつつもAIが持てる可能性をいかに引き出していくのか、今後の世界は大きな課題に直面しているのかもしれない。(了)
出典元:euronews:Commercial drones could be turned into weapons using AI, report warns(2/21)
出典元:BBC News:AI ripe for exploitation, experts warn(2/21)