5億年前に生息していた海の生物、長い触角と顎を持つ化石を発見
グリーンランドで、新たな海洋生物の化石が発見され、分析がすすめられた。
消化器の中に小さな生物も発見
その化石は、北グリーンランドにある「シリウス・パセット」と呼ばれる遺跡の堆積物から発見されたという。
この海洋生物はワーム(虫)と考えられ、研究者は、ラテン語で「恐怖の獣」を意味する「ティモレベスティア(Timorebestia)」と名付けたそうだ。
またイギリスのブリストル大学などの研究者は、この化石を分析し、消化器系の内部に「イソキシス(Isoxys:カンブリア紀に生息していた節足動物)」と呼ばれる、小さな生物の化石も発見した。
Here is a new painting from me…
Meet Timorebestia koprii, a giant (~30 cm long) chaetognath from the early Cambrian (approx. 520 mya) Sirius Passet biota, North Greenland: https://t.co/zkwBbHLqgV#SciArt #SciComm #PaleoArt #PalaeoArt pic.twitter.com/s6vk9bj9DR
— Bob Nicholls Art (@BobNichollsArt) January 4, 2024
食物連鎖の頂点にいた可能性
「ティモレベスティア」は体長約 30 cm まで成長しており、長い触覚を備えた独特の頭を持ち、体の側面にはヒレがあり、口の中に巨大な顎があったという。
またこの生物は、5億1800万年前に生息し、当時は古代の食物連鎖の頂点に近かったとみられ、他の生物にとって代わられるまで、約1000万年から1500万年は捕食者として、海の中で君臨していたと考えられている。
さらに「ティモレベスティア」の現存する最も近い近縁種は、「チェトグナス」と呼ばれる、動物プランクトンを食べる体長約1cmの捕食性海洋ワーム(ヤムシ)と考えられるそうだ。
「ヤムシ」には「腹部神経節」と呼ばれる独特の神経中枢があるが、これが「ティモレベスティア」や「アミスクウィア(Amiskwia)」と呼ばれる別の化石にもあったという。
ブリストル大学地球科学部および生物科学部のヤコブ・ビンサー博士は「私たちの研究は、これらの古代の海洋生態系がかなり複雑で、複数の階層の捕食者を許容する食物連鎖を持っていたことを示しています」と述べている。(了)
出典元:INDEPENDENT:Scientists discover new group of ancient predators dubbed ‘terror beast’ worms(1/4)