ウクライナでの戦争により、カラフトワシが飛行ルートを変更していた可能性
ある研究により、カラフトワシがウクライナでの戦争の影響を受け、飛行ルートを変更している可能性が示された。
カラフトワシのGPSデータを分析
この研究を行ったのは、エストニア生命科学大学(Estonian University of Life Sciences)や、イギリスの研究機関「British Trust for Ornithology(鳥類学)」などの研究者たちだ。
そもそもカラフトワシ(Greater Spotted Eagles)は、ギリシャと南スーダンにある湿地帯から、ベラルーシの繁殖地に向かう途中、毎年春にウクライナの上空を飛行するという。
そして研究者たちは、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月の数カ月後、カラフトワシにとりつけたGPSのデータを分析したそうだ。
その結果、ワシたちが以前、飛行していたルートから大きく逸脱していたことが示された。
このことから研究者は、カラフトワシたちがウクライナでの戦争により、渡りのルートを変更したと考えている。
ワシたちが危険を回避
そもそも渡り鳥にとって、途中で立ち寄る場所は食物や水、避難所を手に入れるために不可欠なものだが、今回の調査でカラフトワシたちは、ウクライナの土地に立ち寄る時間が少なく、または完全にその土地を避けたという。
しかもワシたちは渡りのルートを変更したため、平均で85kmも余分に飛行しなければならなかったそうだ。
これらの変更により、カラフトワシたちの繁殖地への到着が遅れ、よりエネルギーが多く消費され、ダメージを与えたという。
このことから研究者らは、ウクライナでの軍隊の増強や戦車、戦闘機、砲撃などを含む危険を、カラフトワシが回避したと考えている。
バーミンガム大学の助教授であるジム・レイノルズ博士は、今回の研究には参加していないが、次のように述べている。
「それ(ルートの変更)については、疑いの余地がありません。ウクライナの紛争が、この種の移動生態学を根本的に混乱させているということだと思います」(了)
出典元:BBC:Eagles changed migration route to avoid Ukraine war(5/21)