これまで観測された中で、最も気温の低い太陽系外惑星を発見

科学者が宇宙望遠鏡を使い、これまでで最も気温の低い、太陽系外惑星を発見した。
木星の約6倍の質量、巨大なガス惑星
その系外惑星とは、2020年に発見された「WD 1856+534 b」だ。
この惑星は木星の約14倍の大きさで、質量は木星の約6倍の巨大なガス惑星だという。
そしてジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による最近の観測では、この太陽系外惑星から熱放射が検出され、「平均温度」は華氏マイナス125度(摂氏マイナス87度)ほどであることが示唆されたそうだ。
先週、オープンアーカイブサーバー「arXiv」に掲載された論文によると、「WD 1856+534 b」は「直接観測」された中で最も寒い太陽系外惑星になるという。(ちなみに木星の上層部分の気温は、探査機による観測で摂氏マイナス120度前後とされている)
太陽系の約2倍の年齢
天文学者たちは、ウェッブ宇宙望遠鏡の高度な赤外線光学機器(MIRI)や分光計を用いて、この太陽系外惑星の特徴を正確に特定。
研究論文によると、太陽系外惑星の表面や大気から反射される光の量を観測する直接撮像法を用いることで、科学者たちは惑星の形成に関する詳細情報や、生命活動の痕跡(バイオシグネチャー)、例えば酸素、水、メタンなどを明らかにすることができたという。
また「WD 1856+534 b」は、白色矮星を周回する初めてのトランジット惑星とされている。白色矮星とは、進化の終わりに達し、核燃料を使い果たして、外層がはぎとられた高温の恒星の残骸のことだ。
「WD 1856+534 b」は、白色矮星の「禁制帯」内で確認された、初めての無傷の太陽系外惑星とされ、「禁制帯」とは、惑星が赤色巨星期の恒星に飲み込まれていたと考えられる領域のことで、この惑星はそこで生き延びたと考えられている。
「WD 1856+534 b」は太陽系の約2倍の年齢で、地球から約80光年離れており、白色矮星を1.4日周期で公転しているという。(了)
出典元:ABC News:Exoplanet discovered in 2020 has the coldest temperatures ever measured, scientists say(5/2)
出典元:Space.com:James Webb Space Telescope finds coldest exoplanet ever seen, and it orbits a dead star(5/3)