NASAの技術者が、「ボイジャー1号」の推進機を復活させる

NASAは5月14日、探査機「ボイジャー1号」の推進機を復活させたと明らかにした。
20年間も故障していたメイン推進機
1977年に打ち上げられた「ボイジャー1号」は現在、地球から250億km以上も離れた、太陽系外の星間空間を飛行し続けている。
しかしすでに「ボイジャー1号」のメイン推進機(主スラスタ―)は2004年以来、点火用のヒドラジン燃料を温めるヒーター回路の2つが故障したため、約20年間も使われてこなかったという。
そして代わりに予備推進機(バックアップスラスタ―)が使用されていたのだが、これも燃料チューブに残留物が堆積し、徐々に詰まっていたそうだ。
そこでNASAのエンジニアたちは、メイン推進機のヒーターの修理を行い、見事復活させることに成功した。
アンテナもオフラインに入る予定
「ボイジャー1号」は地球からかなり遠い場所を飛行しているため、機体から地球に無線信号が届くまでには23時間かかるという。
しかも「ボイジャー1号」に命令を送信できる唯一の巨大アンテナ、オーストラリアのキャンベラにある「ディープ・スペース・ステーション43」も、今年の5月4日から2026年2月までアップグレードのためオフラインになる予定になっていた。
もっとも今年の8月と12月には一時的にオンラインになるが、その頃には予備推進機が完全に詰まっている可能性があるため、エンジニアたちはその前に、メイン推進機が再び作動するかどうかを知る必要があったそうだ。
そしてエンジニアたちは、「ボイジャー1号」の2つのヒーター回路に、誤ったスイッチが入ったために停止した可能性があると推論。3月20日には、このスイッチを元に戻すための信号を送信したという。
そして46時間後、「ボイジャー1号」からデータが送り返され、ヒーターの温度が劇的に上昇していることが判明。つまり、推進機の修理に成功したことが示されたという。(了)
出典元:Livescience:‘Yet another miracle save’: NASA engineers complete nail-biting maneuver to resurrect Voyager 1’s long-dead thrusters(5/16)
出典元:NASA Jet Propulsion Laboratory:NASA’s Voyager 1 Revives Backup Thrusters Before Command Pause(5/14)