ネパール・チベット国境で発生した鉄砲水、科学者が警鐘を鳴らす

ネパールとチベットの国境で先日、大規模な土石流が発生したが、この原因を分析した科学者が、再び起きる可能性を警告している。
川の上流部で氷河と岩が崩落した可能性
8月26日の早朝、ネパールとチベットの国境で大規模な鉄砲水が発生し、すでに700人以上が死亡、まだ3000人以上が行方不明となっている。
国際山岳開発総合センター(ICIMD)の報告によると、残存する水位計のデータから、ネパールの首都カトマンズの西約33kmに位置するGalchhi市では、Trishuli川の水位がわずか30分で9メートル上昇したことが明らかになったという。
この鉄砲水の原因について、河川科学を研究している、ニュージーランド・オークランド大学のジョン・タニクリフ氏は声明で、次のように述べている。
「モンスーンシーズンの真っ只中に発生したにもかかわらず、大雨が引き金になったとは考えにくい。予備調査では、Lhende Kola川の上流部で氷河の氷と岩が大規模に崩落したことが示唆されている」
この崩落は非常に強力で、アメリカ地質調査所(USGS)は当初、地震と誤認した。実際、揺れはマグニチュード5.2に達し、中規模地震に相当したという。
USGSがその後行った地震波の解析でも、この信号は氷河の崩落と土石流によって発生したことが示されていた。
「ハザード・カスケード」
衛星画像に基づくと、研究者らは氷河から崩れ落ちた氷と岩が、標高約5200mの地点でLhende Kola川の谷に流れ込んだと推測している。
そして科学者たちは、土砂が一時的に川の流れをせき止めた後、その結果、下流でより大きな洪水を引き起こした可能性について調査しているという。
ジョン・タニクリフ氏によれば、これは「ハザード・カスケード(滝)」と呼ばれ、氷河に覆われた斜面の上部で不安定な状態が発生すると、氷と岩の雪崩が発生し、それが川の流れを一時的にせき止め、やがて水と土砂を巻き込み、数十km下流まで流れる洪水へと変化するという。
気候変動の影響か?
ただタニクリフ氏は、今回の災害を気候変動だけに帰することには、慎重であるべきだと警告。その上で、次のように述べた。
「気候変動という重要な背景は確かに存在しますが、原因の特定には注意が必要です。この氷河が崩壊した理由は、まだ分かっていません。しかし、ヒンドゥークシュ・ヒマラヤ(Hindu Kush Himalaya)山脈一帯の状況が、急速に変化していることは分かっています。氷河は後退し、永久凍土は劣化し、新たな湖が形成され、急斜面が露出して不安定化しています」
またタニクリフ氏は、このような事態では、最初の洪水が過ぎ去った後も、危険が必ずしも終息するとは限らないと警告した。
ネパールのTribhuvan大学災害研究センターのBasanta Raj Adhikari所長も、その見方に同意し、BBCに対し、次のように語った。
「今後数日間で、第2波、第3波が発生するリスクがある。まだ分からない。降雨量は多くないが、地滑りが発生する可能性がある」(了)
出典元:Livescience:Devastating Nepal floods were triggered by glacier collapse, experts say — and there’s a risk of more landslides to come(8/27)


























