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NASAが主催する“火星の住居コンテスト”、上位5チームのデザインが選抜される

NASAが主催する“火星の住居コンテスト”、上位5チームのデザインが選抜される
Zopherus

NASAが主催し、火星で生活する際の住居として耐えうるデザインを選考するコンテストの上位5チームが選出され、注目を集めている。

 

2014年からの選考を経て上位5チーム選出

 

今回行われたコンテストは、その名も「3D-Printed Habitat Centennial Challenge」というもの。

 

このコンテストは2014年に選考を開始。2015年、2017年で選考の第一段階と第二段階が行われ、そして今回遂に最終選考に当たる第三段階の結果が発表されることとなった。

 

今回の選考においては、18チームの中から上位5チームを選出。5チームには賞金として総額10万ドル、日本円にして約1111万円が配分されるという。

 

このコンテストの目的とは

 

NASAは今回行われたコンテストの目的として、宇宙探査を実施する際に、生命を維持するため信頼性の高い住居は必要不可欠となることを説明。

 

一方、“材料の輸送に係る広範囲にわたる制限と、大気と地形の違いを鑑みると、火星の地表に建造物を建築するのは極めて困難な挑戦となる”と指摘している。

 

Pixabay

 

その上で、“「3D-Printed Habitat Centennial Challenge」は、いつの日か月や火星、さらに他の星に設置することのできる持続可能なシェルターの進歩向上を目的としている。その使用、不使用に関わらず火星の資源、さらにはリサイクル可能な素材を用い、住居を製造することを可能とさせる新たな技術を開発する民間の発明者を後押ししている”、と説明している。

 

必須の条件とは?

 

一方今回のコンテストでは、3Dプリントの技術を用いることがマスト。

 

さらに選考においては、4人の宇宙飛行士が生活できる1000平方フィート(約92平方メートル)の住空間のほか、機械設備のための部屋が設置されることなども必須条件となっている。

 

また選出された5チームについてコンテストのプログラム・マネージャーを務めたNASAのMonsi Roman氏は、「彼らは建造物のデザインを行うに留まらず、宇宙飛行士が他の星において生活し働くことができる居住空間をデザインしている」と指摘。

 

さらに「我々はこのコンテストがさらに前進し、彼らのデザインが実現することを心待ちにしている」と伝えている。

 

実際の“火星の住居”のデザインとは?

 

それでは選ばれた5チームのデザインとは、どのようなものなのだろうか。

 

今回1位に選ばれたのは、「Team Zopherus」のもの。

 

Zopherus

 

このデザインでは、クモのような形をした着陸機がそのまま3Dプリンターに。

 

着陸機の内部には3Dプリントのために必要なものが全て備えられており、一つの住居が完成したら移動してまた新たな住居を作り出すのだという。

 

 

2位に選ばれたのは、「AI. SpaceFactory」のものだ。

 

AI SpaceFactory

 

“Marsha”と名付けられたこちらのデザインは、3Dプリントによる数階建てで卵型のタワーが特徴的。

 

チームは、ドーム型の設計よりもタワー型の設計の方が、個人のスペースを確保しやすいとしている。

 

 

そして3位に選ばれたのは「Kahn-Yates」。

 

Kahn-Yates

 

こちらのデザインは光を多く取り入れる設計に加え、球形とも言い難い不思議な形が特徴的だ。

 

しかしこれは火星の砂嵐の影響を最小限に食い止めるためのデザインとのことだ。

 

 

4位に選ばれたのは、「SEArch+/Apis Cor」だ。

 

SEArch+/Apis Cor

 

外観に描かれた流れるような線が特徴的なこちらのデザインは、北イタリアの教会建築から着想を得たとのこと。

 

しかし見た目にも比較的美しいのみならず、外光を取り入れつつも放射線を遮蔽することができるという。

 

 

そして5位に選ばれたのは、米国イリノイ州のノースウェスタン大学のチームだ。

 

Northwestern University

 

こちらのデザインは、非常にオーソドックスな平たいドーム型のデザインとなっている。

 

 

コンテスト後の展開は?

 

一方、今回コンテストで選出されたからといって、それで終わりではない。

 

選出チームは来年に向け、縮小版の住宅を制作せねばならず、いわばここからが本番と言えるだろう。

 

NASAは人類が火星で居住するための計画を、今や本気で考えている。コンテストで選ばれた5チームのデザインが実現し、火星へと運ばれる日が来るのが楽しみだ。(了)

 

出典:NASA:Top Five Teams Win a Share of $100,000 in Virtual Modeling Stage of NASA’s 3D-Printed Habitat Competition(7/23)

出典:HuffPost UK:NASA Unveils Finalists In Mars Habitat Contest(7/30)

出典:NBCNews.com:NASA’s Mars habitat contest yields some bizarre-looking dwellings(8/4)

出典:TechRadar:NASA reveals winners of 3D-printed mars habitat competition(8/7)

出典:Futurism:Here Are The Finalists For NASA’s Mars Habitat Design Competition(7/30)

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