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大腸がん患者を臭いでかぎ分ける能力を持つ犬たち、英国の病院で試験的に導入される

大腸がん患者を臭いでかぎ分ける能力を持つ犬たち、英国の病院で試験的に導入される
Medical Detection Dogs

大腸がん患者を臭いでかぎ分けるよう訓練された犬が、英国の病院で導入され、注目を集めている。

 

排泄物の臭いから大腸がんをかぎ分ける

 

大腸がんを臭いでかぎ分けるという特殊な訓練を施された犬が試験的に導入されることとなったのは、英国に医療拠点を有する「Hull and East Yorkshire Hospitals NHS Trust」だ。

 

病院での犬の導入にあたり訓練を行ってきたチャリティー組織「Medical Detection Dogs」は、2000もの人間の尿と排泄物の臭いを犬にかがせることで訓練を行ったという。

 

同団体によると、大腸がんを臭いでかぎ分けることができる犬を試験的に導入するという試みは、英国初のものとなるとのこと。

 

また同団体によると、訓練を受けた犬が大腸がんを見分ける正確性は93%にも達するとのことだ。

 

なぜ臭いでがんの有無がわかるの?

 

しかし尿や排泄物の臭いを嗅ぐだけでがんの有無がわかってしまうというのは、一体どういうことなのだろうか。

 

犬の嗅覚が人よりも遥かに優れているということは知られたことだが、犬の鼻には嗅覚受容体がなんと3億ほども存在しており、その数は人間と比較すると60倍ほどにも匹敵する。

 

一方、がん細胞からは特殊な物質が分泌されており、その物質は尿を通じて体外へと排出されるという。

 

そのため特殊な訓練を施された犬は集中して臭いを嗅ぐことで、尿や便のサンプル中に含まれるそれらの臭いを嗅ぎ取ることができるというわけだ。

 

 

また吐息や血液、尿や便のサンプルには、通常数千にも及ぶ異なる臭いが含まれているが、特殊な訓練を受けた犬はそれらの臭いを無視し、がん細胞から分泌される物質の臭いだけを嗅ぎ分けることが可能であるという。

 

しかしながらMedical Detection Dogsによると、犬に対してがんの臭いを嗅ぎ分ける訓練を施すというのは、爆発物やドラッグの臭いを嗅ぎ分けるよう訓練するよりも難しいものであるとのことだ。

 

がんを嗅ぎ分ける犬の導入は進んでいくのか?

 

このような特殊な訓練を受けた犬が医療機関において利用されるのは、今回がはじめてのことではない。

 

これまでにも英国では医療の現場において、前立腺がんと1型糖尿病患者における血糖値の変化を臭いでかぎ分けることができるよう訓練を施された犬が利用されてきた経緯がある。

 

一方、Medical Detection DogsのCEO、Claire Guest氏は大腸がんの有無を犬がかぎ分けるということについて、「もし我々の試験によって、犬が尿のサンプルから大腸がんを発見することができることが示されれば、迅速で非侵襲的診断を行うことが可能となる。それはがん検診の受診率の向上を大いに促し、したがって早期の診断を可能とさせる」としている。

 

Cancer Research UKによると、英国では大腸がんを患った人で10年以上生存できているのは、57%とのこと。

 

また英国では60歳に達すると、大腸がんの有無を調べるための検査に召集される。

 

しかしここで用いられる検査方法では、便の中に含まれる血液を調べることしかできないため、この検査により異常が発見された場合には苦痛を伴う更なる検査を行う必要がある。

 

もし犬ががんの臭いを嗅ぎ分けることが出来るのであれば、このような大腸がん検査の現状には変化が訪れる可能性があるだろう。

 

 

大腸がんを臭いでかぎ分けることができる犬が試験的に導入されたという今回のニュース。このような能力を持つ犬が増え、大腸がん検査が気軽に行える時代が来ることを望むばかりだ。(了)

 

出典:BBC News:Sniffer dogs in East Yorkshire hospitals bowel cancer trial(8/22)

出典:Sputnik International:A Man’s Best Friend: Dogs Being Trained to Sniff Out Cancer in UK Patients(8/24)

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