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新型コロナに約200種の変異を確認、共通ゲノムを標的にした薬の開発に期待:英大学

新型コロナに約200種の変異を確認、共通ゲノムを標的にした薬の開発に期待:英大学
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イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン・遺伝学研究所の研究者たちは、新型コロナウイルスが数多く周期的に変異していることを突き止め、その論文を5月6日に「Infection, Genetics and Evolution」において発表した。

 

強毒化しているかは、まだ分からない

 

研究者らは、新型コロナに感染した世界中の患者から7500以上に及ぶウイルスのゲノム(塩基配列)をスクリーニング。SARS-CoV-2におけるゲノム多様性の出現について分析した。

 

その結果、SARS-CoV-2が198種に変異しているのを特定。それらの変異が独立して(個別に)1回以上起きているとみられ、今後ウイルスがどのように適応しているのかを知る手掛かりになると考えられている。

 

論文の共同主筆を務めたFrancois Balloux教授は、次のように述べている。

 

「全てのウイルスは自然に変異します。変異それ自体は、悪いことではありません。(ただし)SARS-CoV-2が予想されているよりも早く、または遅く変異したのかを示唆するものはありません。また今までのところ、SARS-CoV-2が強毒化しているのかどうか、または感染力が強くなっているのかどうか、を断言することもできません」

 

長期間効果をもたらす薬も可能か

 

また特定された僅かなゲノムの変異が、ウイルス全体のゲノムに等しく分散しているわけではないという。つまりゲノム(塩基配列)のある一部分は、ほとんど変異していない。

 

このことから研究者らは、ウイルスの変異していない部分が薬やワクチン開発において、より良いターゲットになりうると考えている。Balloux教授は次のように述べている。

 

「ウイルスを打ち負かす上で最も困難なことは、ウイルスが変異した場合、もはや薬やワクチンが効かないかもしれないという点です。もし私たちが、ウイルスの変異する可能性が少ない部分に焦点を当てて取り組めば、我々は長期間効果をもたらす薬の開発のより良い機会を持つことになるでしょう」

 

さらに共同主筆のLucy van Dorp教授も、次のように述べている。

 

「私たちは、ウイルスによって簡単に回避されない薬やワクチンを開発する必要があります。ウイルスの間には、非常にわずかな遺伝的な違いや変異があります。これらのいくつかの違いがパンデミックの経過の間、個別に複数回起きていることを発見しました。私たちには、より多くのゲノムを利用できるようになるまで、これらをモニターし続ける必要があります。そしてウイルスが具体的にどのようになっているのかを、理解するために研究する必要があるのです」

 

研究者らはすでに相互にやり取りできる、オープンソースのオンライン・アプリケーションを開発しており、これにより世界中の研究者がウイルスのゲノムを確認でき、その進化をよりよく理解するため、同様のアプローチが取れるようになっているという。(了)

 

 

出典元:University College London:Mutations in SARS-CoV-2 offer insights into virus evolution(5/6)

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