12才で自宅に核融合炉を作った少年がギネス世界記録に
自宅で核融合炉を作ってしまった12才の少年がいる。アメリカ・テネシー州メンフィス市のJackson Oswalt君だ。「核融合反応を起こした最年少の人」としてギネス世界記録に認定され、今月8日、インタビュー動画がYouTubeの公式チャンネルで公開された。
核融合炉は水素やヘリウムの核融合反応を利用してエネルギーを発生させる原子炉の一種。まだ実用化されておらず、世界の科学者たちが実験炉での研究に取り組んでいる。
誕生日の数時間前に成功した核融合
現在15才になるOswalt君が、自作の核融合炉で核融合を成功させたのは、13才の誕生日を迎える数時間前。ギリギリ12才ということで、最年少の認定を受けたそう。
公開された動画の中で、自作した核融合炉の働きについて、Oswalt君はこう話している。
電気を利用して重水素の原子2つを加速します。すると2つが融合して1つのヘリウム3原子になり、同時に中性子を放出するのです。この中性子で水を加熱し、蒸気エンジンを動かせば、発電することができます。
炉の中で確かに核融合が行われたことは、核融合の研究フォーラムである「オープンソース・フューザー・リサーチ・コンソーシアム(The Open Source Fusor Research Consortium)」と、核融合の研究者であるRichard Hull氏が検証した。どうやらこれに時間がかかって認定が遅れたらしい。
家族友人に理解してもらえず
核融合炉を作ろうと思ったきっかけは、若き原子核物理学者Taylor Wilsonだった。2008年、14才の時に独学で核融合炉を自作した彼は、当時、天才少年として有名になった。その影響を受けたとOswalt君は言っている。
核融合炉を作り始めた彼のことを、家族や友人はまったく理解してくれなかったそう。それも当然だろう、ホームメイドの核融合炉はちょっと想像し難いものだ。
Oswalt君は、11月発行予定の『ギネス世界記録 2021』の中で詳しく紹介されている。(了)
出典元:Guinness World Records:Middle school student achieved nuclear fusion in his family playroom(10/6)
出典元:UPI:Tennessee teenager’s homemade fusion reactor lands Guinness record(10/8)