アルゼンチンで新たな肉食恐竜の化石を発見、小さな手の機能とは?
アルゼンチンで新たな肉食恐竜の化石が発見され、研究者らが小さな手の機能について、示唆を与えている。
頭に比べて小さすぎる腕
その化石は、アルゼンチンの科学者チームにより、パタゴニア北部で発見され、体の広範囲に及ぶ骨格が掘り起こされたという。
この恐竜は、これまで知られていなかった種で、名前は「メラクセス・ギガス(Meraxes gigas)」。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズに登場する、架空のドラゴンに因んで名付けられたそうだ。
「メラクセス・ギガス」は、長さが約36フィート(約11メートル)。頭蓋骨は4フィート(約1.2メートル)もあったが、腕の長さはわずか2フィート(約61cm)しかなかったという。
New, more complete #fossil of Meraxes gigas #dinosaur shows they had tiny arms like T. Rex. The tiny arms may have been used in mating or movement support, the authors suggest
Learn more in @CurrentBiology: https://t.co/3nj4nRHDZn@CONICETDialoga @UNRIONEGRO Juan Ignacio Canale pic.twitter.com/d6eWIx4pME
— Cell Press (@CellPressNews) July 7, 2022
交尾の際に使っていた可能性
しかしT-Rexも含め、なぜ大型の肉食恐竜は、このように腕が小さかったのだろうか?
この研究論文の主執筆者であるフアン・カナーレ氏は、次のように説明している。
「私は、この小さな腕には何らかの機能があったと確信しています。骨格には大きな筋肉があったことが示され、胸郭も発達しているので、腕にも強い筋肉があります。交尾の際にメスを抱えたり、またメスから離れ、転倒した後に立ち上がるなど、生殖行動やそれを支援するために、腕を使ったのかもしれません」
共著者のピーター・マコヴィッキー氏も、恐竜の腕は「文字通り頭蓋骨の半分の長さで、恐竜の口に届くことができなかったでしょう」と語っている。
またマコヴィッキー氏によれば、この種の巨大な頭部は主に捕食の道具であり、小型種の腕が持っていたはずの機能を担っていた、と考えているという。
さらに研究者らは、ティラノサウルス類やアベリサウルス類という他の2種も、同様の理由で小さな腕になっていったと考えているそうだ。
「メラクセス・ギガス」はカルカロドントサウルス類に属し、重さは4トンもあり、約9000万年から1億年前に地球に生息していたと考えられている。(了)
出典元:BBC:Dinosaur finding hints at why T-rex had small arms(7/8)