フランス政府、ミツバチに悪影響を与えるとして、米国産殺虫剤2種の販売を中止
ミツバチに有害な可能性があると環境団体が懸念したことを受け、今月24日(金)、フランスの裁判所は、米国の大手化学メーカー「ダウ」が製造する殺虫剤2種類の販売を中止する決定を下した。
植物の受粉に欠かせないミツバチ
「ダウ」によると、2種類の殺虫剤「Transform」と「Closer」は米国、カナダ、南アフリカを含む41か国で承認され、販売されているという。
フランスの保健当局は、今年9月に販売を許可する判断を下していたが、今回、ニース南部の裁判所での決定を受け、更なる判決が出るまでは中止するとした。
主要作物の90%の受粉を助けるといわれるミツバチについては、その身体状態への懸念が年々高まっている。
ミツバチが大量に失踪または死亡する「蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん、CCD)」という現象が、ヨーローッパ、アメリカ、日本などで確認されている。ダニ、農薬、ウィルス、真菌等様々なものが要因とされているが、詳しい原因は明らかになっていない。
受粉を助ける動物の40%が絶滅の危機
国連は昨年、受粉を助ける動物の40%、特にミツバチとチョウが絶滅の危機に瀕していると発表した。
「ダウ」と、フランスの国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)の両者は、裁判所の決定に控訴するのに2週間の期間を与えられた。
農業用に作られたこれらの殺虫剤は、アブラムシや植物に影響を与えるその他の虫を殺す為のものだとされている。
しかし、フランスの環境団体は、有効成分の中にスルホキサフロルが含まれていると指摘。スルホキサフロルは2013年より部分的に禁止されているネオニコチノイド系農薬の一種である。
今年10月に発行された科学誌によると、世界のミツバチの75%に、神経に影響を及ぼすネオニコチノイドの痕跡があったという。
これに対して「ダウ」は有効成分がネオニコチノイドではなく、これらの殺虫剤は「生物多様性を重んじた薬品」だと主張している。
しかし裁判官は、不確実性が残っている以上、農家には控えめに使用するなど注意を明記したほうが良かったであろう、と述べている。(了)
出典元:The Local:France stops sales of two US pesticides over threat to bees(11/24)