卒業スピーチで生徒代表が性的被害を訴えた瞬間、マイクが切られ問題に
カリフォルニアにある高校の卒業式で、生徒総代が性的暴行の被害についてスピーチを行おうとしたところ突然、学校側がマイクを切り、問題となっている。
「彼女に話をさせろ!」と生徒が応援
その生徒総代とは、Petaluma高校に通っていたLulabel Seitzさん(17)。
彼女は6月2日に卒業式で生徒を代表し、皆の前でスピーチを行い、高校へ通い始めた時のことや学校が閉鎖に追い込まれた山火事について、さらに教師らのストライキなど、今までの思い出を語っていたという。
しかし自身が学校内で受けた性的暴行について話をしようとした瞬間、突然マイクが切られ、彼女の声が皆に届かなくなってしまう。
Seitzさんは慌てて抗議するも、マイクは切られたまま。すると生徒や出席していた人々が不満を表し、「彼女に話をさせろ!話をさせろ!」と唱え始めた。
しかしその抗議も虚しく、マイクは繋がらず、結局Seitzさんは自分の席へと戻らざるを得なくなったそうだ。
語らないよう学校から警告を受けていた
生徒会のメンバーで成績も優秀だったSeitzさんは、卒業式の前に生徒総代に選ばれたが、学校関係者からスピーチの草稿を調べられ、予定していた内容を変えるよう何度も指示されたという。
しかもその後も関係者から、学校に背くような内容は話さないよう警告を受けていたそうだ。
しかし卒業式の前の晩に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏(キング牧師)の演説を聞いた彼女は、やはり自身が受けた性的暴行について話そうと決意する。そんな思いを踏みにじられたことについて、SeitzさんはCNNの取材に対し、次のように語っている。
「彼らがマイクを切った時、私は彼らを見てぞっとしました。私は思いました、これが言論の自由のある公立学校なんだなと」
学校側は性的暴行事件に対処せず
実は、Seitzさんは性的暴行を受けた時、学校側に報告していたという。しかし当時、高校は何の対処もしてくれなかったそうだ。
このことについてPetaluma学区の責任者は声明で、生徒のプライバシーの問題があるため、性的暴行に関するSeitzさんの申し立てを議論することはできないと説明。その上で次のように述べている。
「性的暴行の問題が明らかになった時、まず地元の法執行機関に管轄権があり、彼らが指針を決めます。もし疑わしい出来事が学校内、または学校の外で起きたら、私たちはしっかりしたカウンセリングなど適切な規則に基づき、生徒をサポートするために動きます。そして生徒が学習する環境にいる間、私たちはあらゆる手段をもって生徒を守るつもりです」
しかし彼女にスピーチをさせなかったことについて明確な説明もなく、学校側にはメールで多くの苦情が寄せられているという。
またMeToo運動を率いた女優のMira SorvinoさんもSeitzさんを支援することを表明し、「性的暴行の被害者はこれ以上、沈黙していないことを理解していないのかしら?」とメッセージを寄せたそうだ。
スタンフォード大学に通う予定のSeitzさんは、スピーチで述べることができなかった内容についてもう一度伝えるため、家族の助けを借りて撮影した動画をYouTube上で公開している。(了)
出典元:CNN:High school valedictorian says she tried to speak about sexual assault and her mic was cut off(6/10)
出典元:NYPost:Valedictorian’s mic was cut off when she brought up sex assault in grad speech(6/10)